不動産用語集

用語の頭文字

  • あ行
  • か行
  • さ行
  • た行
  • な行
  • は行
  • ま行
  • や行
  • ら行
  • わ行

あ行

IRR

不動産経営などの投資事業においてその収益性を評価する指標の一つで、事業から得られるキャッシュフローの現在額と投資額が等しくなる割引率をいう。Internal Rate of Returnの略語。

 事業から将来得られるであろう各期間のキャッシュフローを現在価値に換算するには一定の割引率によって減価しなければならないが(第n期の収益を(1+割引率)のn乗で除する)、そのようにして算出したキャッシュフローの合計額と投資額とが等しくなるような割引率である。IRRは収益性が高いほど大きな数値となる。事業評価や投資判断などに当たって利用されている。

 不動産投資においては、DCF法が収益をベースに資産価格を算出して事業を評価するのに対して、IRRは投資額の回収性に着目して評価することになる。

  IRRを利用する場合には、事業規模に左右されない指標であること、事業期間を適切に設定する必要があることなどに注意しなければならない。

IHクッキングヒーター

IHとは、Induction Heaterの頭文字を取ったもので、「電磁誘導加熱器」という意味である。

IHクッキングヒーターは、トッププレート(結晶化ガラスなどの板)の下に、磁力発生用コイルを敷いたものである。
トッププレート上に鉄製の鍋を置いた状態でコイルに電流を流すと、電磁誘導により鍋底に電気抵抗が生じ、電気抵抗により鍋底が加熱される。

このような原理により鍋底全体を直接加熱するので、周囲の空気へ熱が逃げにくく、熱効率が80%以上と高いという特長がある。 2キロワットのタイプのIHクッキングヒーターは、4,000キロカロリーのハイカロリーバーナーに近い火力を持つとされている。

ただし電磁誘導により加熱を行なうため、磁力の影響を受けやすい調理器具(鉄製のフライパン、鉄鍋、18-0のステンレス鍋、鉄ホーロー鍋など)を使用する必要がある。アルミ鍋、銅鍋、土鍋、耐熱ガラス鍋などは使用することができない。また、鍋底が平らでない鍋(中華鍋など)も使用できない。

このため、アルミ鍋・銅鍋・超耐熱ガラス鍋などが使用できるクイックラジエントヒーターとIHクッキングヒーターを組み合わせたタイプの調理用ヒーターが開発され、普及しつつある(詳しくはラジエントヒーターへ)。

またIHクッキングヒーターを使用するには、家庭内の分電盤において、IHクッキングヒーターだけに使用する200Vの専用回路を設置する必要がある(ただし予備の回路がある場合、その回路を利用できる)。比較的安全である。

ISDN

公衆電話網を用いて電話とデータ通信等を統合して運用するサービス。英語のIntegrated Services Digital Network(統合デジタル通信網)の略語。NTTが提供している。

特徴は、相手と直接に通信回線をつないで情報を送ることである(「コネクション型通信」という)。そのために回線の交換機を必要とするが、通信の安定性が高いとされる一方、コストが嵩むほか、ISDNの規格は国際性に欠ける。

なお、インターネットなどはISDNと違って情報にアドレスを付加して送る仕組みで、相手と直接に通信回線をつなぐことなく情報を伝達することができ、ISDNに比べて国際性を備え低コストであるが、通信の安定性に劣るとされる。

IoT

Internet of Things。モノが人を介することなく相互に情報をやりとりする概念をいう。これによって、広範な分野で、自動的な認識、判断、制御等やそれらの統合・連携が可能になるとの期待がある。 

例えば、住空間の状態や設備を自動的に制御し、住生活ニーズに幅広く応えることを目指した取り組み(スマートハウス、インテリジェントハウス、ユビキタス住宅など)も、この概念の具体化である。そのほか、エネルギー管理の最適化、ウエアラブルデバイスによる生活ニーズの充足、自動車の自動運転等々、多様な展開が考えられている。

なお、IoTを具体的に展開するためには、モノに認知・通信・制御機能を埋め込むこと、大量の情報をネットワーク化し分散したままで処理すること、データの収集・蓄積・分析を自律的に行なうことなどの技術開発が必要である。

ICT

情報技術と通信技術が複合化・一体化した技術概念。英語のInformation and Communication Technologyの略語で、情報通信技術ともいう。

ICTは、ものごとのデータ化、データの分析・総合化、情報の交流ネットワーク化などの技術が組合わさった幅広い技術をさす概念である。たとえば、スマートハウス、交通系ICカード、POSシステム(販売時点情報管理)、ソーシャルメディアはいずれもICTに支えられているなど、その応用範囲は広く、コンピュータ技術に重点を置いたIT(Information Technology)を包含すると考えてよい。

一方、AI(人工知能 Artificial Intelligence)やロボット技術は、ICTと連携することはあってもそれには含めず、別の技術と考えられている。

IT重説

不動産取引における重要事項説明を、インターネット等を利用して対面以外の方法で行なうこと。宅地建物取引業法が定めている重要事項説明における対面原則の例外である。

IT重説の導入に当たっては、関係書類を十分に確認できること、双方向で確実にやりとりができること、宅地建物取引士が実際に説明することなどの要件を満たすとともに、消費者が不利益を被らないよう措置する必要がある。そのための条件等について検討・検証が進められ、不動産の賃借に当たっての重要事項説明に限って、一定の条件を満たす場合に、IT重説を対面による説明と同様なものとして認める運用がなされている。

 

IP電話

インターネットをベースとした格安の音声電話サービスのこと。

IPフォンに加入するためには、利用者が光ファイバーADSLCATVという高速の情報通信サービスに加入していることが必要になる。その上で、利用者が加入している通信事業者(プロバイダなど)がIPフォンサービスを提供している場合には、利用者が申し込むことにより、IPフォンが使用できるようになる。ただし初期費用、月額(定額)使用料が必要である。

現在提供されているIPフォンのサービスでは、既存のアナログ電話機を、IPフォンに対応した特別の機器(IPフォン対応モデムなど)につなぐことにより、IPフォン通話が使用可能になるものが多い。

IPフォンに加入した場合、IPフォン専用の電話番号が交付される(既存の電話番号は一般電話回線として引き続き使用できる)。IPフォンへの一般電話・携帯電話からの着信も可能である。
IPフォンの加入者同士の通話は無料となることが多い。また、一般電話との国内通話・国際通話は格安となる。

IPフォン

インターネットをベースとした格安の音声電話サービスのこと。
IPフォンに加入するためには、利用者が光ファイバーADSLCATVという高速の情報通信サービスに加入していることが必要になる。その上で、利用者が加入している通信事業者(プロバイダなど)がIPフォンサービスを提供している場合には、利用者が申し込むことにより、IPフォンが使用できるようになる。ただし初期費用、月額(定額)使用料が必要である。

現在提供されているIPフォンのサービスでは、既存のアナログ電話機を、IPフォンに対応した特別の機器(IPフォン対応モデムなど)につなぐことにより、IPフォン通話が使用可能になるものが多い。

IPフォンに加入した場合、IPフォン専用の電話番号が交付される(既存の電話番号は一般電話回線として引き続き使用できる)。IPフォンへの一般電話・携帯電話からの着信も可能である。
IPフォンの加入者同士の通話は無料となることが多い。また、一般電話との国内通話・国際通話は格安となる。

IVS

不動産を含む資産の評価についての国際的な基準をいい、IVSはInternational Valuation Standardsの略語である。国際財務報告基準(IFRS)の採択など企業会計の国際的統一化の動きを背景に、財務諸表における資産評価の国際的基準として、国際評価基準審議会(International Valuation Standards Council)によって策定・提案されている。

IVSは、不動産だけでなくすべての資産や負債を評価の対象とし、市場価格(Market Value)を原価方式(Cost Approach)、比較方式(Market Approach)、収益方式(Income Approach)を基本として、市場参加者の視点から評価する方法を採用している。従って、日本の不動産鑑定評価基準と比較すれば、評価対象は幅広いが、その基本概念において同一で、手法についても整合的であると考えられている。

アイランドキッチン

壁に接することなく独立して設置された調理台の形式。部屋の中で島(英語でアイランドIsland)のようなかたちとなることから名づけられた。

アイランドキッチンは、対面型のキッチンであるとともに、オープンキッチン(ダイニングルームや居間とつながった形式)でもある。開放感やコミュニケーション性に優れている一方、設置のために部屋の広さや強力な換気装置が必要とされる。

なお、アイランドキッチンに類似した調理台の形式として、一端のみ壁に接するかたちのもの(ペニンシュラキッチン)がある。憧れのキッチンである。

アウトフレーム工法

マンションの住戸を構造的に支える構法に、「ラーメン構造」と「壁構造」がある。

ラーメン構造は、柱とを剛接合するもの。壁構造は壁で荷重を持たせるものでそれぞれ一長一短があるが、ラーメン構法の場合は、柱や梁が室内側に出っ張り(出隅・入隅)、デッドスペースを生み出してしまう。この短所を解消するのがアウトフレーム工法。

柱や梁を住戸の外側に出してしまえば、住戸の室内には柱や梁の出っ張りはなくなるため、部屋を有効に使える。柱はバルコニー側と開放廊下側にあるが、バルコニー側に出すケースが一般的。

アウトレット

電流や通信波を室内に引き出すための接続口。電線、電話線、TVケーブルなどを接続する。英語のoutlet。「コンセント」とも言うがこれは和製英語である。また、アウトレットに接続するための端子がプラグ(plug)である。

アウトレットの形状は、国や装置によって異なることがあるので、それに合わせてプラグを選択しなければならない。たとえば電源プラグのかたちは、日本やアメリカではAタイプ(縦に平行する2枚の板)が、ヨーロッパの多くの国ではCタイプ(平行する2本の棒)が、イギリスではBFタイプ(横に平行する2枚の板と垂直な1枚の板(アース)との組合せ)が使われている。

アウトレットモール

ブランド品などを安価に販売する店舗が多数集まった街区状の小売流通施設。英語のoutlet mallで、アメリカ合衆国で誕生した小売流通形態である。

大部分が市街地から離れた場所に立地する。買物の利便だけでなく、飲食や娯楽サービスを提供することによって、滞在型のショッピングセンターとして営まれることも多い。結局安いのか高いのか不明だ。

青色申告

個人が、不動産の貸付け業などの事業を営んでいる場合には「確定申告」を行なう必要があるが、毎日の取引を正確に記録して、所得や税金の計算を正確に行なっている個人については、国が所得税法上のさまざまなメリットを与えるという制度が設けられている。
この制度のことを「青色申告」という。

青色申告を行なう個人には、次のような所得税法上のメリットがある。

1.一定要件を満たす「家族従業員」に支払った適正な給料・賞与(これを青色事業専従者給与という)は、必要経費となる。
2.複式簿記に従って青色申告決算書を完成させることにより、所得から55万円の特別控除を受けることができる。
3.複式簿記によらないで青色申告決算書を完成させた場合には、上記2.に代わって、所得から45万円の特別控除を受けることができる。

なお、青色申告を行なうためには、青色申告を行なおうとする年の3月15日までに、税務署に「承認申請書」を提出することが必要である(ただしその年の1月16日以後に業を開始した場合には、開始した日から2ヵ月以内に「承認申請書」を提出すればよい)。

また、不動産の貸付けから生じる所得(不動産所得)のある個人が、上記1.から3.のメリットを享受するには、不動産の貸付けが「事業的規模」に達していることが必要である。

青色事業専従者給与

不動産所得がある個人が青色申告を行なっているとき、一定の条件を満たす家族従業員について「青色事業専従者給与の届出」をあらかじめ税務署に提出した場合には、家族従業員に対して支払った給与を必要経費とすることができる。
このような給与を「青色事業専従者給与」と呼んでいる。

ただしこの場合には、不動産の貸付けが「事業的規模」に達していることが必要となる。素人には難しい。

青田売り

完成する前に宅地や建物を売却すること。新築マンションや戸建分譲住宅の販売手法として広く使われている。

売主は事業リスクを回避し、早期に資金を回収できるなどの利点があるが、買主には、確実に建物が完成するかどうか、完成物での仕様や品質が予定どおりであるかなど、引渡しまでのあいだ不安が残りやすい。そこで、宅地建物取引業法では、宅建業者に対して建築確認前の広告や契約の禁止、手付金等の保全義務などを課している。要確認案件です。

青地

登記所に備え付けられている公図において青く塗られた部分のことで、国有地である水路や河川敷を示す。「青道」ともいう。

青地は本来は国有地であるから一般の宅地にはならないはずだが、長い年月のうちに水路が事実上廃止されてしまって、青地を含む敷地に普通の住宅が建っていることも少なくない。

このような青地を含む敷地を持つ中古住宅を購入する場合には、青地(国有地)を国から払い下げてもらう手続きを踏むのが安全である。

青道

青地」と同じ。それを参照。

なお、青地はもともと水路や河川敷であるが、その機能を失いあたかも道のようなかたちになっていることも少なくない。「青道」という名称は、このような土地の形状を反映したものと考えられる。

赤地

登記所に備え付けられている公図において、赤く塗られた部分のこと。
国有地である道路を示すものである。

従って、本来赤地は国有地であるから、一般の宅地にはならないはずだが、長い年月のうちに道路であることが忘れられてしまい、赤地を含む敷地に普通の住宅が建っていることも少なくない。

このような赤地を含む敷地を持つ中古住宅を購入する場合には、赤地(国有地)を国から払い下げてもらう手続きを踏むのが安全である。

赤道

公図上で地番が記載されていない土地(無籍地)の一つで、道路であった土地をいう。

古くから道路として利用された土地のうち、道路法の道路の敷地とされずにそのまま残った土地がこれに該当し、国有地である。公図に赤色で着色されていることから「あかみち」と呼ばれている。

現に、道路でなくその予定もない赤道の払い下げを受けるには、用途廃止等の所定の手続きが必要である。出会ったことはない。

上がり框

玄関に段差が設けられて、腰を下ろせるようになっているとき、その腰を下ろす部分にあたる水平材のこと。
高価な材が用いられることが多い。框にこだわっている家は本物だ。

空地条例

空き地等の管理や利活用の促進のために制定される条例。多くの地方公共団体において、空き地の適正な管理などを確保することによって、環境保全、防災、防犯などの必要に応えることを目的に制定されている。

空地条例の内容はさまざまであるが、雑草の除去を義務付けることや、騒音・振動・悪臭、害虫、砂ぼこり、ごみ等の投棄などを防止することによって生活環境の保全を図るものが多い。そのほか、防災、防犯、景観保全、自然環境保全、農地保全、危険防止、利活用の促進などを内容とするものがある。

空地条例による義務付けや措置の要請については、一般に、強制力を持たせることは困難で、法律による授権が必要であると考えられている。

空家対策特別措置法

適切に管理されていない空家等について、その状態を是正するための措置を定めた法律。正式には「空家等対策の推進に関する特別措置法」といい、2014(平成26)年に制定された。

同法は、市町村による空家等対策計画の策定、空家等の所在や所有者の調査、データベースの整備等を規定している。

さらに、ア)倒壊等著しく保安上危険となる恐れのある状態、イ)著しく衛生上有害となる恐れのある状態、ウ)適切な管理が行なわれないことにより著しく景観を損なっている状態 、エ)その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態の空家等を「特定空家等」として指定して、是正のための立入調査や、措置の指導、勧告、命令、代執行を行なうことができるとする規定を定めている。

また、措置の勧告を受けた特定空家等に係る土地については、固定資産税等の住宅用地特例から除外することとされている。これからは増えると思う。

空家に係る譲渡所得の特別控除

相続した空家の譲渡利益に対する所得税について、課税を軽減する措置。

課税の軽減は、譲渡所得を計算するとき、譲渡利益から3,000万円(譲渡利益が3,000万円未満のときはその額)を控除する方法で行なう。

特別控除が適用されるのは、相続開始の直前まで被相続人が住んでいた居住用家屋とその敷地を譲渡する場合であって、相続が開始した日から3年を経過する日の属する年の年末までに譲渡するなど一定の条件を満たす場合に限られる。

なお、この措置については、適用期限が定められているので注意が必要である。

空き家・空き地バンク、空き家バンク

空き家・空き地の物件情報が登録され、検索できる情報システム。地方自治体が運営していることが多い。

空き家・空き地バンクは、不動産需給のミスマッチの解消、不動産の有効活用の促進などに資すると考えられている。しかしながら、バンクごとに掲載項目が異なること、検索や比較がしづらいなどの課題があるため、空き家・空き地バンクの標準化や統合したシステムの構築が検討されている。対応は遅い。

アクアリウム

水生動物を飼育する水槽。英語のaquarium。一般に、水温の維持、汚染物の処理、酸素供給などのための装置を備えている。また、水草を植えるなど、水槽の環境を整えたものもある。

なお、アクアリウムは、飼育のためだけでなく、インテリアとして利用される場合もある。水の交換が出来る人にはおすすめだ。私は無理だった。

悪意

私法上の概念で、契約などの法律的な行為の際に一定の事実を知っていることをいう。

逆に知らないことを「善意」という。民法などの規定において、事実を知っているかどうかによって行為の効果に違いが生じることがあり、一般に悪意の場合には不利になる。

例えば、AがBに不動産を虚偽で売却したうえで登記をしたときにはAB間の取引は無効であるが、その登記済みの不動産をCが買収した場合に、CがそのAB間の取引が虚偽であることを知っていた(悪意である)ときには、ABはCに対して当該不動産の所有権移転が無効であると主張できる。しかし、Cが知らなかった(善意である)ときには、その主張はできない。悪意の場合には、善意の場合に比べて法的に保護を受ける効果が劣るのである。

アクリル板

アクリル樹脂を板状に加工した素材。合成樹脂の一種で、化学的には、メタクリル酸エステルの重合体(ポリマー)である。

透明度が高く、衝撃に耐え、可塑性があって着色もできることから、ガラスの代用品として、建築材料、各種のカバー、製品の素材などさまざまな用途に使われている。

種類は、「押し出し材」と「キャスト材」に大別される。押し出し材は、アクリル樹脂をローラーで押し出して作られ、加工が容易で安価であるが、耐久性に欠けるとされる。キャスト材は、アクリル樹脂をガラスで挟み高度に重合させたもので、硬く耐久性があり、大きな板とすることもできるが、高価である。便利です。

アコーディオンカーテン

仕切り壁が折りたたむように伸縮することによって開閉する可動間仕切り。英語のaccordion curtain。その仕切り壁は、一般に天井に設置したレールに吊され、アコーディオンの蛇腹のように動く。

本来、カーテンのような幕ではなく、可動する薄い壁であるが、最近は部屋を仕切るカーテンのように使われる場合もある。最近見ないな。

アスファルトシングル葺き

アスファルトシングルとは、基材(無機系材料)にアスファルトを塗覆した柔軟性のある板状の材料である。
軽量かつ安価で、複雑な屋根でも加工しやすく、防水性、耐震性にも優れている。
このアスファルトシングルで屋根を覆うことを「アスファルトシングル葺き」という。

具体的な工法としては、アスファルトシングルを接着剤で下地に張る方法や、釘打ちによる方法がある。

アスベスト

石綿(せきめん・いしわた)のこと。

繊維質であるため紡績することができる。また、耐久力があり、溶融点が1,300度程度と高く、熱絶縁性が大きく、耐薬品性も大きいなど、安価で優れた性質を持つため、さまざまな用途に使用されてきた。建築素材としても、断熱材、保温材、耐火材として大量に利用された。

しかし、石綿の繊維を肺に吸入すると、肺がんや中皮腫の原因となることがわかり、1975年には吹き付け使用が禁止され、以後、段階的に使用の規制が強化 されて2006年には全面的に輸入・製造・使用等が禁止された(代替品が確立していない特定の部材については例外的に確立までの間は禁止が猶予されてい る)。

建物の解体などの際には、使用されていた石綿が飛散するなどの恐れがあり、それに伴う健康被害を予防するため、作業方法などについて一定の基準が定められている。ほんとに繊維っぽい。

アセットマネジメント

委託を受けて不動産などの資産の形成、運用、保全を行なうことをいう。

その際に重要なのは、投資目的に沿ってリスクとリターンをコントロールすることであり、資産価値を評価するほか、投資内容や投資先の分散、投資期間の設定などについて工夫することが要求される。
また、その業務は多岐にわたり、例えば不動産を組み込んだアセットマネジメントにおいては、投資不動産の選定や売買だけでなく、不動産の収益性を左右する賃料の設定、テナントの選定などの業務にも関与する。

受託の方法として、大きく信託による方法と受委託の契約による方法とがあるが、その業務は、前者は主として信託業法によって、後者は主として金融商品取引法宅地建物取引業法などによって規制されている。

頭金

購入代金を分割して支払うときに最初に支払う代金。通常、商品引き渡しの際に支払われる。頭金は、以後支払う分割代金よりも多額であることが多い。

たとえば住宅ローンを利用する場合には、購入代金を金融機関から借り入れて販売者に一括して支払ったうえで、借入金を金融機関に分割返済することとなる。この場合に、通常、購入金額のすべてを住宅ローンの対象とすることはできず、代金の一部(一般には20%程度)は自己資金で支払わなければならない。この住宅購入時に住宅ローンを充てることなく自己資金で支払う代金が「頭金」である。手付金と迷うよね。

UPREIT

土地を現物出資して不動産投資信託REIT)として運用することとし、その後に出資分をREITの投資口(株式と同義)に転換する手法をいう。

「Umbrella Partnership REIT」の略語であり、土地出資者とREITとがパートナーシップを形成することから名付けられた。アメリカで幅広く活用されている手法である。

UPREITにおいては、出資した土地の簿価が時価よりも低い場合でも、土地所有者に対する時価との差額益(譲渡益)課税は、REITの投資口に転換した時点で行なわれる。つまり、UPREITを活用することによって、土地の含み益を顕在化することなく課税を繰り延べることができるのである。

アティック

屋根裏部屋のこと。アティック(attic、アテカともいう)とは、もともと古代建築の記念門の上部につくられた部屋であったが、転じて屋根裏部屋の意味になったといわれている。

アテネ憲章

近代都市のあるべき姿を示した理念。1933年にCIAM(近代建築国際会議)がアテネで開催した会議の成果として提案された。

スプロールやスラムに現れている混沌を解決するべく、都市を機能的な構造に構築・再編する必要があるとし、そのための考え方を95条の項目にまとめたものである。その考え方を主導したのは、ル・コルビュジエだったとされている。

アテネ憲章で示された主な理念は、都市装置を人間を標準として構築すること、都市が必ず備えるべき機能は「住む」「働く」「楽しむ(余暇に)」「往来する」であること、都市計画においては機能の配置、効率性の規律、居住を最優先すること、都市の再編に当たっては立体化、計画による調和確保、科学技術の活用を重視することなどである。

都市計画による都市の構築・再編のための理念として広く受け入れられ、都市計画を主導する考え方となった。一方で、都市機能の分離、計画主導・プロセス軽視の手法、技術的な改造の偏重などに対する強い批判がある。

アトリウム

もともとはローマ時代の中庭や中庭付きの大広間のことだが、現代ではグリーンや池などを設け、人工的な自然環境をつくり出す、建物に囲まれた中庭、吹抜けなどの内部空間を指す。

アパート

英語の「アパートメント(apartment)」を略した言葉。
わが国では1階建てもしくは2階建ての共同住宅で、建築構造木造または軽量鉄骨構造のものを一般的に指している。

しかし最近では2階建ての共同住宅であっても、重量鉄骨構造のものがあり、また外壁・内壁も軽量気泡コンクリートパネル等としているものもある。

このため、マンションとアパートの外観上・構造上の区別がつきにくくなってきている。

アパート経営

居住用建物の全部を所有し賃貸する事業をいう。不動産投資として実施されることがある。

アパート経営は不動産賃貸業であるから、事業を行なうことについては宅地建物取引業法の適用はない。ただし、アパート経営の仲介、アパート経営者の委任を受けて行なう賃借人の募集などの業務については、同法の適用がある。

なお、建物の全部ではなく、マンションの一室などを所有して賃貸する事業は「マンション経営」という。大家さん方を応援します。

アプローチ

敷地の入り口や門から建物までの小道(取付き道路)のこと。前面道路から建物までの距離をできるだけ取り、カーポートや前庭を配置することにより、まち並みや景観に配慮するケースが近年増えてきている。

雨戸

家の外回りに設置される窓のない戸。風雨の吹込み防止や防犯のために用いられる。

雨どい

屋根面を流れる雨水を地上や下水に導くための溝形や管状の部材のこと。

いわば雨の道で、横方向に流す軒樋(のきどい)、谷樋(たにどい)、縦方向に導くための竪樋(たてどい)、横樋(よこどい)と竪樋をつなぐ呼樋(よびどい)(形状が似ているので鮟鱇=あんこう、ともいう)などがある。

ちなみに、ボーリング競技でいう「ガータ」は、英語で雨どいのこと。

網戸

細い金網などを張った建具。通気を保ちつつ虫類が侵入するのを防ぐために用いられる。

網戸は、に設置されるほか、引き戸などとしても用いられている。

アメニティ

居心地や住み心地が快適な環境。英語のamenity。都市環境や居住環境の状態を示す言葉として使われる用語である。

良好なアメニティを確保・実現することは、都市計画(特にイギリスのそれ)や住宅政策の重要な目標のひとつとされている。ただし、便利さを高めるだけではアメニティの向上にはならず、安らぐことのできる景観、慣れ親しむことのできる空間性などを備えている必要がある。

また、アメニティは宿泊施設等で提供する個人用の備品を指す言葉としても使われている。

アラベスク模様

アラビア風の装飾様式。英語のarabesque。

アラベスク模様はイスラム美術で発達した装飾様式で、植物をテーマに線が細かく絡み合った左右均整の模様(唐草模様)や、幾何学的なかたちを反復して造形した文様に特徴がある。

アラベスク模様は、イスラム美術だけでなく、室内装飾など各種の用途におけるデザインの様式として広く用いられている。

アルコーブ

マンションにおいて、共用廊下から数m離れた位置に玄関扉を置いた造りのこと。

アルベルゴ・ディフーゾ

まちのなかの複数の空き家を宿泊施設として利用し、まちの活性化を図る取り組み。イタリアで始まった取り組みで、アルベルゴ・ディフーゾalbergo diffusoは、イタリア語で「分散した宿」という意味である。イタリアだけでなく、日本を含め世界各地で取り組まれている。

もともとそこにあったものを再利用するという原則の下、街の複数の空き家や空き店舗をリノベーションし、レセプション、客室、食堂などの機能をそれぞれの家屋に分散させる。それによって、まち全体がホテルの機能を担うことになり、回遊性や触れ合いが生まれ、まちが活性化するとされている。

アルマイト

アルミニウムの表面に陽極酸化皮膜を作る処理方法。英語では、alumite、 anodize(アノダイズ)またはanodic oxidation(アノディック オキシディション)と表記される。

陽極酸化皮膜は、電解液にアルミニウム製品を浸し、これを陽極として弱い電流を流すことによって形成する。これによって、アルミニウムの耐食性、耐摩耗性が向上するほか、装飾性を加えることもできる。

アルマイトは、アルミニウム製建材、自動車部品、光学部品、半導体部品、化粧板などに幅広く用いられている。また、やかん、鍋などの家庭用製品にも利用されている。

なお、アルマイトはアルミニウム自体を酸化して皮膜にするもので、表面に他の金属を付加するメッキとは処理の方法が異なる。

アレンジャー

不動産の証券化を実現するために各段階の実務を行なう参加者(不動産を所有するオリジネーター、証券を発行・販売する者、投資家など)の間に立ち、調整を行なう者。

その業務に当たっては、証券化実行への働きかけ、証券化の仕組みの検討・立案、証券化に必要なSPCの設立、格付の取得、資産管理の具体化、最終的な決済の見届け・確認など広範な仕事を実施し、または関与することが要求される。特に、利害関係者間の調整が重要で、そのためには、不動産、金融、法務、税務などに関する広範で専門的な知識を要する。

ただし、業務のための特別の資格制度はなく、不動産会社、証券会社、銀行、信託会社、独立の専門コンサルティング会社などがこれに当たっている。

アンカーボルト

布基礎にあらかじめ埋め込んでおく棒状の金物のこと。
布基礎と土台を緊結するための重要な金物である。

あんこう

軒どい(軒下に水平に設置する樋)と竪どい(軒下から地面まで垂直に設置する樋)とを繋ぐ部分をいう。「呼びどい」も同じ意味である。

その形が魚のアンコウ(鮟鱇)に似ているところから名付けられた。

暗号化

当事者以外には内容が理解できないように文字等の記号を変換することをいう。

インターネットを通じた情報交換においてはその通信は常に傍受可能であるため、秘密保持を要する記号(例えばクレジットカードの番号、重要な個人情報、企業秘密など)の通信に当たっては、暗号化が必須である。

暗号化は、記号を一定の方法で変換し(その際に使う鍵が暗号化鍵)、変換した記号を伝達し、受け取った記号をもとの記号に復元する(その際に使う鍵が複号化鍵)というプロセスを基本とする。従って、暗号の安全性は、復号化鍵を当事者のみが知っていることによって保たれる。暗号化の最重要課題が第三者による復号化鍵の解読を困難にすることにあるのはそのためである。

古来、さまざまな暗号化の技術が工夫されているが、インターネットによる取引の安全を確保するためによく使われる暗号化の方法として、「公開鍵暗号」がある。

これは、通常は同一である暗号化鍵と復号化鍵を異なるように設定し、暗号化鍵をあらかじめ公開したうえでその暗号化鍵を用いた暗号を受信する方法である。受け取った暗号は、受信者しか知らない復号化鍵がなければ解読できない。理論上は暗号化鍵から復号鍵を推定できるはずだが、その計算には膨大な時間を要して事実上不可能であるとされる。

また、公開鍵暗号を用いた通信に当たっては送信者を安全確実に特定することが必要だが、そのための方法として工夫されたのが「電子署名」である。

安心R住宅

安心に関する一定の要件を満たす旨の標章(マーク)を使用することのできる住宅。標章の付与は、国土交通省の告示(特定既存住宅情報提供事業者団体登録制度)に基づいて登録された事業者団体が行なう。

安心R住宅の標章を使用するために必要な要件は、1)新耐震基準(1981年6月1日以降の耐震基準)等に適合すること、2)インスペクション(建物状況調査等)を実施し、構造上の不具合および雨漏りが認められず、住宅購入者の求めに応じて既存住宅売買瑕疵保険を締結できる用意がなされていることである。そして事業者は、当該住宅の広告などに際して、安心R住宅の標章を表示できる。

安心R住宅の標章の付与に当たる事業者団体は、国土交通大臣の審査・登録を受け、リフォームの基準及び標章の使用について事業者が守るべきルールを設定し、団体の構成員である事業者を指導・監督することとなる。

なお、「安心R住宅」の「R」は、Reuse(リユース)・Reform(リフォーム)・Renovation(リノベーション)の意味である。

アンティーク

骨董品。古い時代のスタイルを帯びていることや、希少性があることによって珍重される家具、道具、美術工芸品などをいう。英語のantique。

主なアンティークとして、年代物の家具類、古い陶磁器類、精巧な金属器類、デザイン豊かなガラス製品、珍しい文房具類や置物などがある。

実用に供されるだけでなく、部屋に置くことによって落ち着いた雰囲気を生み出すなど、インテリアとしても利用されている。

アーガイル

格子模様の一種で、連続する菱形で構成され、細い線が菱形の中心で交差するように辺に並行して描かれた模様である。英語のArgyle。

セーター、靴下などの衣料品の柄として使われるほか、デザインのための模様としても用いられている。

アーガイルという名前は、スコットランドのアーガイル(Argyll)地方に由来するという説が有力である。

アース

電位を大地と同じにすること。英語のearthで、「接地」ともいう。

電気回路の一部または電気機器等の金属部分を、導線によって、地中に埋設した接地用の電極とつなぐ方法で行なわれる。そのための導線を「アース線」または「接地線」という。 

落雷などによる過電流や電荷ノイズの流入を防ぎ、感電事故や電気機器の誤動作を防ぐことができる。また、アースを電気回路の一部として利用し回路を簡易化することもできる。

家電製品を設置する場合には、原則として、電源を接続するときに同時に、製品のアース線をコンセントのアース端末に接続する必要がある。

アーバニズム

都市社会に特有の生活様式。英語のurbanism。アメリカの社会学者ルイス・ワース(Louis Wirth)が1938年に提示した概念である。

ワースは、都市においては、「特徴的な生活様式を構成する諸特性の複合体」が発達しているとしている。そしてその生活様式は、大規模で高密度で高い異質性を備えた都市社会の特性から生まれるとし、その基本的な特徴として、i)社会組織の機能ごとの分節化と分業、ii)人々の相互作用における第二次的接触(間接的・合理的な関係)の優位、iii)個人の自由と疎外の並存をあげている。

アーバニズムの概念は、都市社会学を中心に広く受け入れられ、都市社会を理解するための基本的な枠組みとなっている。また、まちづくりなどに当たっても重視すべき視点であるとされる。

アール

アールを付けるなどと使う。円の半径を表す記号「r」に由来して、曲面や曲線を付けることをいう。

RMBS

Residential Mortgage Backed Securitiesの略。住宅ローンを担保として発行される証券のことで、住宅金融公庫(現在は「住宅金融支援機構」)が発行する貸付債権担保住宅金融公庫債券(現在は「貸付債権担保住宅金融支援機構債券」)や金融機関が発行する住宅ローン債権担保証券がこれにあたる。

証券を買った投資家は、住宅ローンの償還金や利子を受け取る。その特徴は、多数の住宅ローン債権をまとめてパッケージとして金融商品化することであり、アメリカで発達・拡大した商品である。住宅ローンは超長期固定金利という特性があるが、債務不履行、繰上げ償還などのリスクがあり、それらのリスクを投資家に分散する手法として、日本でも発行が拡大してきている。

ROE

財務指標の一つで、当期純利益を自己資本で除した数値。英語のReturn On Equityの略称で、和訳は「自己資本利益率」という。

自己資本は株主が投下した資本であるから、ROEは投資の収益性を示すとされている。

ROA

財務指標の一つで、利益を総資産(総資本)で除した数値。英語のReturn On Assetsの略称で、和訳は「総資産利益率」という。資産利用の効率性を表すとされている。

RC

「Reinforced Concrete」の頭文字を取ったもの。
鉄筋コンクリート構造」という意味である。

鉄筋とコンクリートによって、柱・小梁・大梁・スラブ・壁を造り、すべての部分を一体化した構造のこと。
鉄筋コンクリートの部材は、引っ張る力にも、圧縮する力にも強いので、地震に対する安全性が高い構造となる。
また、すべての部材がコンクリートで一体化され、部材同士の接合部は剛であるので、建築学上の「ラーメン構造」となっている。

この鉄筋コンクリート構造のデメリットは、自重が大きいため、原則的には大空間建築や高層建築に向かないということである。

RPA

事務作業を自動的に実施する手法またはその手法を導入する取り組み。英語のRobotic Process Automation(ロボティック プロセス オートメーション)の略語。

基本的な仕組みは、主として定型的な事務作業のプロセスを情報化して、情報制御の下で機械システム(ロボット)が自動的に実施することである。いわば、産業ロボットの事務作業版として活用されている。

アール・デコ

1920~30年代にかけてヨーロッパやアメリカを中心に流行したデザイン・装飾様式。英語のArt Deco。フランス語のart décoratifの短縮語。

直線や立体を用いた静的な幾何学図形をモチーフにし、明るい色を使うことが特徴で、工業製品や近代的都市生活が一般化した時代を背景に、そこに表れた機能的・実用的な美意識を反映した様式であるとされている。

アール・デコを取り入れた分野は、工芸だけでなく、絵画、建築、家具、室内装飾など幅広い。

生け垣

樹木を密に植え並べてつくる垣根。用いる樹種によって高さが定まり、受ける感覚も違うものとなるが、植物の特性を生かすことができる。一方で刈り込みなどの手入れが必要である。

都市緑化や景観保全の手法として用いられることもある。たとえば、緑地協定で垣根を生け垣とする旨を定めるなどである。

遺言

死後の法律関係を定めるための最終意思の表示をいい、日常用語として、「ゆいごん」と読むことが多い。

その最大の役割は、遺産の処分について被相続人の意思を反映させることで、遺言がない場合は民法の規定に従って相続が行なわれる(法定相続)が、遺言を作成しておくと、遺産の全体または個々の遺産を誰が受け継ぐかについて自らの意思を反映させることができる。
また、遺贈の方法により、相続人以外の者に遺産を与えることも可能である。ただし、それが有効であるためには、民法に定められた方法で行なわなければならない。一般的には、遺言書の全文(日付と氏名を含む)を遺言者が自筆で記述して押印する自筆証書遺言、遺言内容を公証人に確認してもらってから公正証書にする公正証書遺言、遺言内容を秘密にして公正証書にする秘密証書遺言のどれかの方法による。

また、手続きを円滑に進めるため遺言執行者を指定することができ、遺言執行者は相続人の代理人とみなされる。遺言の執行は、弁護士、司法書士、行政書士、信託会社などが手がけている。

遺産分割

相続財産を相続人が分けることをいう。

遺言により各相続人の取得する財産が具体的に記されている場合を除いて、相続人全員で協議して、誰が、どの財産を、どの方法で、どれだけ取得するかを決めなければならないのである。

遺産分割の協議は、民法で「遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする」とされている。遺産分割協議に相続人全員が参加していなかった場合は、その遺産分割協議は無効となる。
また、協議は相続人間での任意の話合いであり、相続人全員で協議し、全員が賛成すれば、遺言や法定相続分に関係なく財産をどのように分けることも自由である。なお、協議ができないときや不調のときには、家庭裁判所で決めてもらうこととなる。

具体的な分割の方法としては、遺産そのものを現物で分ける現物分割、相続分以上の財産を取得するときにその代償として他の相続人に金銭を支払う代償分割、遺産を売却して金銭に変換したうえでその金額を分ける換価分割がある。

遺産分割協議書

遺産分割について協議・合意した内容を記載した書類。

相続に当たっては、相続人が複数のときには、被相続人の遺産を分割しなければならない。この場合、遺言書の内容どおりに分割するときや、民法に規定する相続分(法定相続分)どおり分割するときには、遺産分割について協議する必要はなく、遺産分割協議書を作成する必要もない。一方、これ以外の場合には、相続人が、相続割合や分割の方法を協議して合意する必要がある。遺産分割協議書はその合意内容を記載した書類である。

遺産分割協議書には、相続発生の事実、相続人の全員が合意したこと(相続人全員の署名及び実印の押印)、相続する遺産の内容(財産目録)、遺産分割の割合及びその方法を記載しなければならない。

相続は遺産分割協議書がなくても有効に成立するが、相続した遺産について、預金の名義変更・払い戻し、不動産の名義変更、相続税の申告などを行なう ときには、遺産分割協議書の提示を求められることがある。

なお、相続税の申告・納税期限は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヵ月以内 である。期限までに遺産分割の協議が成立していないときは、各相続人が、民法に規定する相続分または包括遺贈の割合に従って財産を取得したものとして、期限までに申告・納税しなければならないとされている。
 

意思能力

法律行為を行なったときに、自己の権利や義務がどのように変動するかを理解するだけの精神能力のこと。民法上明文の規定はないが、このような意思能力を持たない者(=意思無能力者)の行なった法律行為は無効とされている(判例)。
意思無能力者とは、具体的には小学校低学年以下に相当する精神能力しか持たない者と考えられる。
通常、法律行為が無効であれば、その無効は契約等の当事者の誰からでも主張することが可能とされており、意思無能力者の行なった法律行為も同様である。

ただし、意思無能力者の法律行為が無効とされるのは、意思無能力者を保護する趣旨であるので、意思無能力者が無効を主張しない場合(契約等の効力の存続を希望する場合)には、契約等の相手方から無効を主張することは許されない、とする有力な学説がある。

意思表示

一定の法律効果を欲するという意思を外部に表示することである。
意思表示は次の3つの部分から構成されている。

1.内心的効果意思
具体的にある法律効果を意欲する意思のこと。例えば、店頭で品物を買おうと意欲する意思が内心的効果意思である。

2.表示意思
内心的効果意思にもとづいて、その意思を表示しようとする意思のこと。
例えば、店頭で品物を買うために、店員にその旨を伝えようとする意思である。
(なお、表示意思を内心的効果意思に含める考え方もある)

3.表示行為
内心的効果意思を外部に表示する行為のこと。
例えば、店頭で品物を買うために、店員にその旨を告げることである。

意思無能力者

意思能力を持たない人のこと。

囲障の設置

所有者を異にする2棟の間に空地があるときには、境界に囲障(塀、柵のような通行を妨げる構築物)を設置できるとするルール。民法の相隣関係の一つとして認められている権利で、「囲障設置権」という。

この場合の費用は、原則として相隣者が等しい割合で負担する。

移住

住む場所を移すこと。生活の本拠地を移転する場合を言う。明確な定義はないが、「地方移住」「海外移住」のように使われる。

なお、一時的に他の場所に居住することは移住ではない。また、一般的に、近所に転居する場合も移住とは言わない。

イ準耐

準耐火建築物の一つで、「建築基準法第2条9号の3イ」に規定されている建築物のこと。

主要構造部のすべてを準耐火構造にすると同時に、延焼の恐れのある開口部(窓やドア)を防火戸等とした建築物である。

遺跡台帳

貝塚・古墳・住居跡などの遺跡について、その時代・種類・所在地・面積・主な出土品などを記載した台帳のこと。

文化財保護法第95条の規定にもとづき、原則として市町村教育委員会が作成する台帳であり、一般の閲覧が可能とされている。なお、遺跡の区域を明示した地図は遺跡地図と呼ばれている。

遺跡地図

貝塚・古墳・住居跡などの遺跡の区域を示す地図のこと。文化財保護法第95条の規定にもとづき、原則として市町村教育委員会が作成する地図であり、一般の閲覧が可能とされている。

この遺跡地図に登載された遺跡の区域は「周知の埋蔵文化財包蔵地」となるので、土木工事等の目的で発掘しようとする者は、事前に文化庁長官に届出をする義務が生じる(同法第93条)。

遺贈

民法に定める方式の遺言により、特定の者に財産を贈与すること。

民法では、民法に定める方式による遺言のみを認めており、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言、特別方式による遺言が定められている(民法第967条、第976条から979条)。
これらの遺言において、遺言をする者が、特定の者に対して財産を贈与する意思表示をすることを「遺贈」という。

特定の者に財産の何分の一を与えるというような抽象的な意思表示を「包括遺贈」、この家を与えるというような具体的な意思表示を「特定遺贈」と呼んで区別している(民法第964条)。
「包括遺贈」には、民法の「相続」の規定の大部分が適用されるが、代襲相続遺留分減殺請求権の規定は適用されない(民法第990条)。

位置指定道路

特定行政庁から道路位置指定を受けた私道を、一般に「位置指定道路」と呼んでいる(建築基準法第42条第1項第5号)。

位置指定道路は「建築基準法上の道路」であるので、位置指定道路に面する土地では、建築物建築することができる。

一次エネルギー消費量

建築物のエネルギー消費性能を評価するときの評価指標のひとつで、建物の利用に伴う直接的なエネルギー消費量(エネルギー利用の効率化設備によるエネルギー消費削減量を含む)をいう。この数値が小さいほど省エネの程度は大きい。

非住宅建築物については、空気調和設備、空調設備以外の機械換気設備、照明設備、給湯設備、エレベーター、その他の一次エネルギー消費量を合計し、エネルギー利用の効率化設備によるエネルギー消費削減量を減じた消費量を算定する。

住宅については、暖房設備、冷房設備、機械換気設備、照明設備、給湯設備、その他の一次エネルギー消費量を合計し、エネルギー利用の効率化設備によるエネルギー消費削減量を減じた消費量を算定する。

その具体的な算定方法は、国土交通大臣が定めることとされているが、いずれも、一年当たりのエネルギー量(メガジュール/年)で表される。

省エネの程度を評価する場合の一次エネルギー消費量は、省エネ基準を1とすれば、誘導基準は、非住宅建築物については0.8倍、住宅については0.9倍、住宅トップランナー基準は0.9倍の水準に設定されている。

一時金

毎月支給される給与以外の、一時的に支払われる給与をいう。賞与、ボーナス、期末手当等がこれに該当し、通常、年2回支給される。

一時金の性格については、経営上の業績等に応じて支給される特別の手当て、または、毎月の給与を補填するべく支給される生活給とする2つの考え方がある。しかし、いずれにしても給与であることに変わりはない。

一時滞在施設・帰宅困難者の

地震が発生したときの帰宅困難者を一時的に受け入れ、滞在できるようにする施設をいう。

大都市が大地震で被災したときには、屋外で被災して待機する場所がなく、帰宅が難しい被災者(帰宅困難者)が多数発生する。そこで、震災対策の一つとして、帰宅困難者等を一時的に受け入れ、帰宅可能となるまでの間(おおむね3日間)安全に滞在できる施設を確保する必要がある。そのような施設が「一時滞在施設」である。

一時滞在施設は、耐震性があること、一定の広さがあること、滞在者を支援できることなどの条件を満たしていなければならない。そのため、あらかじめ自治体の指定を受けるか、協定を締結するのが望ましいとされている。

一時滞在施設として想定されているのは、集会場、庁舎やオフィスビルのエントランスホール、ホテルの宴会場、学校等である。

一団地認定

一団地の土地を一つの敷地とみなして建築規制を緩和適用するための、特定行政庁の認定をいう。建築基準法に基づく制度である。

建築確認に当たっては、一つの建物(用途上不可分の関係にある複数の建物は一つの建物とみなす)ごとに独立した敷地を確定し、基準の適合性が判断される。しかし、一団地認定を得れば、その土地に複数の建物を建築する場合でも(ただし、建物は総合的に設計されていなければならない)、一つの敷地に建築するとみなして建築規制が適用される。緩和適用される規制は、接道義務容積率制限、建ぺい率制限、日影規制等である。

例えば、ある土地を敷地とした建物が規制を満たさない場合に、隣地を敷地とする建物と総合的に設計した上で、両方の土地を一体として一団地認定を得ることができれば、前者の建築が可能となることがある。

一団地認定は、建築物の位置および構造が、安全上、防火上、衛生上支障がないと認められる場合に得ることができ、具体的な認定の基準は特定行政庁が公表している。

一団地の総合的設計

2以上の敷地等で形成されている一団の土地の区域に1または2以上の建築物を総合的な設計によって建築する場合に、その一団の土地の区域を建築物の一つの敷地とみなして建築規制(接道義務容積率制限、斜線制限日影規制等の規制)を適用する制度をいう。

この制度の適用を受けるには、特定行政庁によって、建築物の位置および構造の設計について、安全上、防火上および衛生上支障がないと認定されなければならない。

この制度を活用することによって、隣接する敷地等の間で容積率を移転することができる。

一括競売

土地の競売に当たって、土地に対する抵当権の設定後にその土地に建物が築造された場合に、土地とともにその建物をあわせて競売することをいう。民法によって認められている。

なお、建物に対して抵当権が設定されていない場合や建物所有者が債務者と異なる場合にも当該建物を競売できるが、優先弁済の対象となるのは土地の対価についてのみであるほか、建物所有者が抵当地を占有するについて抵当権者に対抗することができる権利を有している場合は建物の競売はできない。

一級建築士

建築物の設計や工事管理を行なうことのできる資格のひとつ。建築士法に基づき、国土交通大臣の行なう一級建築士試験に合格し、大臣から免許を受けることによって得ることのできる資格である。

建築物の設計・工事管理は、用途、構造、規模に応じて定められた一定の建築物について、一級建築士、二級建築士または木造建築士が行なわなければならないとされている(建築基準法)。この場合、二級建築士および木造建築士については設計・工事管理を行なうことができる建築物に制限があるが、一級建築士は、すべての建築物について設計・工事管理を行なうことができる。

ただし、一定規模以上の建築物の構造設計または設備設計に関しては、構造設計一級建築士または設備設計一級建築士による構造関係規定または設備関係規定への適合性の確認を受けるか、それらの者が自ら構造設計または設備設計を行なう必要がある。

一戸建て

独立した一軒の家屋がひとつの住戸となっている住宅。「戸建て」も同じ意味である。これに対して、複数の住戸で構成される建物を「集合住宅」「共同住宅」という。

逸失利益

損害賠償において請求することのできる損失の一つで、本来得られるべきであるにもかかわらず得られなかった利益をいう。

「得べかりし利益」とか「消極的利益」ともいわれる。

例えば、事故による入院中に得ることのできなかった収入や、後遺障害によって生じる減収はこれに当たる。現実に生じた損失(「消極的利益」に対して「積極的利益」といわれる)に比べて、額の算定に当たって幅が生じやすい。

なお、慰謝料とは異なることに注意。

一般建築物

建築基準法において、特殊建築物と、大規模建築物とのどちらにも該当しない建築物のこと。

一般財団法人

法律(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律)に基づく準則に従って設立された財団法人をいう。
従うべき主な準則は、

1)目的、設立者が拠出する財産及びその価額、評議員の選任・解任の方法などを定めた定款を作成すること
2)定款中に、理事又は理事会が評議員を選任・解任する旨、及び設立者に剰余金又は残余財産の分配を受ける権利を与える旨の定めが無いこと
3)評議員、評議員会、理事、理事会、監事を一定の手続きによって設置・運営すること(大規模一般財団法人については会計監査人が必置)
4)一定の方法によって会計を処理すること
である。

一般財団法人は、主たる事務所の所在地において、準則に適合するかどうかのみの審査を経て設立の登記をすることによって成立し、名称中に「一般財団法人」という文字を独占的に使用する。

一般社団法人

法律(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律)に基づく準則に従って設立された社団法人をいう。
従うべき主な準則は、


1)目的、社員資格の得喪に関する規定などを定めた定款を作成すること
2)定款中に、社員に剰余金又は残余財産の分配を受ける権利を与える旨の定めが無いこと
3)社員総会その他の機関を一定の手続きによって設置・運営すること(社員総会及び理事は必置であり、理事会、監事、会計監査人は定款により設置を選択できる)
4)一定の方法によって会計を処理すること
である。

一般社団法人は、主たる事務所の所在地において、準則に適合するかどうかのみの審査を経て設立の登記をすることによって成立し、名称中に「一般社団法人」という文字を独占的に使用する。

一般承継人

他人の権利義務を一括して承継する人のことで、包括承継人ともいわれる。たとえば被相続人の財産等を包括的に承継する場合の相続人がこれに当たる。承継するのは一身専属権(譲渡が禁止されている債権など)を除くすべての権利義務である。

なお、個別の権利を承継する人を特定承継人といい、たとえば売買によって所有権を取得する者がこれに該当する。

一般定期借地権

借地借家法(1992(平成4)年8月1日施行)により創設された3種類の定期借地権のうちの一つ。

「一般定期借地権」とは次の3つの契約内容を含む定期借地権のことである。

1.更新による期間の延長がない。
2.存続期間中に建物が滅失し、再築されても、期間の延長がない。
3.期間満了時に借地人が建物の買取を地主に請求することができない。

なお、「一般定期借地権」の存続期間は少なくとも50年以上としなければならない。

一般媒介契約

媒介契約の一つの類型。
一般媒介契約とは、次の1.および2.の特徴を持つ媒介契約のことである。

1.依頼者(すなわち売主等のこと)が「依頼した宅地建物取引業者」以外の「他の宅地建物取引業者」に重ねて媒介を依頼することが原則的に自由である。
2.依頼者自身が、自分の力で取引の相手を発見し、直接契約することが原則的に自由である。

なお、依頼者が、「依頼した宅地建物取引業者」以外の「他の宅地建物取引業者」に重ねて依頼する場合において、その「他の宅地建物取引業者」の名称と所在地を、「依頼した宅地建物取引業者」に通知するかどうかにより、一般媒介契約はさらに次の2つの類型に分かれる。

1)明示型の一般媒介契約
明示型の一般媒介契約とは、「他の宅地建物取引業者」の名称と所在地を、「依頼した宅地建物取引業者」に対して通知する義務があるとする媒介契約である。
2)非明示型の一般媒介契約
非明示型の一般媒介契約とは、「他の宅地建物取引業者」の名称と所在地を、「依頼した宅地建物取引業者」に対して通知しなくてよいとする媒介契約である。

一筆の土地

土地登記簿において、一個の土地を指す単位を「筆」という。

従って、「一筆の土地」とは「土地登記簿上の一個 の土地」という意味である。

移転登記

所有権移転登記のこと。

所有権移転登記とは、不動産の売買取引において、不動産の所有権が売主から買主に移転したことを公示するための登記である。

移動等円滑化経路協定

バリアフリー化するための経路の整備、管理に関する協定をいう。「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」に基づき、土地所有者等の全員の合意によって締結され、市町村長の認可を得て公告される。

移動等円滑化経路協定は、高齢者、障害者等が生活上利用する旅客施設、官公庁施設、福祉施設などが所在し、バリアフリー化のための整備を進めるべく指定される一定の地区(重点整備地区)内の一団の土地について締結され、経路案内設備、エレベーター、エスカレーター等の整備、管理などに関して定められる。

この協定の効力は、新たに該当土地の所有者等となった者に承継される。また、この制限は、宅地建物取引における重要事項説明の対象とされている。

イニシャルコスト

収益を得る前にその準備のために必要な費用。英語のinitial costで、「初期費用」ともいう。これに対して、準備が整ったあとの運営に要する費用を「ランニングコスト」という。

建物の建築、事業の開始、機械設備の導入などに当たって発生する。その主な費用は、技術開発費、調査費、設計費、工事費、用地買収費などであるが、これらは、損益分析において固定費とするのが原則である。

囲繞地

公道に通じていない土地を囲んでいる周囲の土地をいう。

民法は、他の土地に囲まれ公道に接していない土地の所有者は、公道に至るために囲繞地を通行することができる(囲繞地通行権)としているが、これは、囲繞地に対して、囲繞する土地を受益地とする法定地役権が設定されていると考えることができる。

囲繞地通行権

他の土地に囲まれて公道に通じない土地(袋地)の所有者が、その土地を囲んでいる他の土地(囲繞地)を通行できるとする権利。民法で定められている権利である。「公道に至るための他の土地の通行権」ともいわれる。

この場合、袋地の所有者は、囲繞地を通行するために与える損害に対して相応の金銭を支払うことが必要とされている。ただし、土地を分割した結果として袋地が発生した場合には、当該袋地の所有者は、公道に至るために、分割された他の土地を無償で通行することができる。

委任契約

民法上の典型契約の一つで、法律行為の実施を委託する契約をいう。労務供給契約であるが、雇用契約と違い受任者の裁量で実施すること、請負契約と異なり結果の完成が必須ではないことに特徴がある。

宅地建物取引業における媒介契約は法律行為の実施を委任するものではないから民法上の委任契約ではないが、準委任契約として委任契約の規定(民法643~655条)が適用されることとなる。ただしその適用においては、特別法である宅地建物取引業法の規定が優先する。

委任状

一定の事項を特定の者に委任する旨を記載した書面。委任する事項(委任事項)、委任する相手(受任者名)などを記載する。

委任状がなくても委任契約は有効だが、受任者が委任事項(例えば各種の申請手続)を実施する場合に委任状の提示を求められることがある。この場合には、委任状の発行が直近(通例は3ヵ月以内)でなければならないとされることが多い。

委任状には、委任の意思を表示するべく委任者が自署しなければならない。また、委任は多くの場合に代理権の授与を伴うが、このときには、委任状はその証拠となる。

なお、委任事項、受任者名などを記載せず、その白地部分の補充を他者に任せた委任状(これを「白紙委任状」という)を発行することがある。この場合には、白地が補充されたときに委任状の効力が発生する。ただし、補充権のない者が補充する、補充者が権限を濫用するなどの恐れがあり、白紙委任状の発行については、その是非を含めて十分な注意が必要である。弊社で作成可能。

居抜き

店舗や工場などを、その内部の商品、設備、什器備品などを設置したままの状態で売買・賃貸すること。

従って、居抜きで購入もしくは借りた場合は、以前のままの内装や設計設備等が付帯するので、比較的早期で営業にこぎつけることができる。

犬走り

築地塀の外壁と溝との間にある細長く平らな通路状の部分。

土手、石垣などに設けられた同様の狭い帯状部分をさす場合もある。クラックが良く出る

 

違反建築物

建築基準法都市計画法などに違反している建築物。建築後に増改築や用途変更を行なった結果、違法となる場合もある。
なお、法令の改正や都市計画の変更によって違法となった建築物は、「既存不適格建築物」であって違反建築物とはいわない。

特定行政庁は、違反建築物を発見した場合には、建物の取り壊し、改築、修繕、使用禁止などの是正命令を出し、違反事実を公示できる。また緊急の場合は、特定行政庁が任命した建築監視員が工事施工の停止を求めることができる。気を付けて

違法貸ルーム

居住以外の用途に供していると称しながら多人数の居住実態がある建築物、マンションの一住戸や戸建て住宅を改修して多人数の居住の用に供している建築物等であって、居住用施設としての防火関係規定等を満たしていないものをいう。安価なシェアハウスなどに多いとされる。

おもな違法事項として、非常用照明装置関係、窓先空地関係、防火上主要な間仕切壁関係、居室面積関係、採光関係がある。貸し主借り主共に気を付けよう

 

違約金

不動産売買契約では、当事者の一方が債務を履行しない場合には、債務の履行を確保するために、その債務を履行しない当事者が他方の当事者に対して、一定額の金銭を支払わなければならないと定めることがある。
このような金銭を「違約金」と呼んでいる。

「違約金」と「損害賠償額の予定」とは、債務を履行しない当事者が支払う金銭という意味ではよく似た概念である。
しかし「違約金」は、実際に損害が発生しない場合でも支払いの義務が生じるという点で、「損害賠償額の予定」とは大きく異なっている。

ただし実際の売買契約においては、「違約金」という言葉を「損害賠償額の予定」と同じ意味で使用していることも多い。
さらに民法(第420条)では、違約金という言葉の意味について、売買契約書でその意味を明示していない場合には、違約金は「損害賠償額の予定」の意味であるものと一応推定されると定めている。

このように「違約金」は、「損害賠償額の予定」と同じ意味であると解釈されるケースも実際には多いのである。
そのため売買契約書において本来の意味での「違約金」を定める場合には、その意味を明記しておくことが望ましいといえる。

なお、宅地建物取引業法では、宅地建物取引業者売主となる宅地建物の売買契約においては、「損害賠償額の予定」と「違約金」との合計額は売買代金の2割を超えてはならないと定めている(宅地建物取引業法第38条)。

これは売買取引に精通していない一般の買主が不利にならないように特に保護している強行規定である。
宅地建物取引業者同士の売買取引については、この宅地建物取引業法第38条は適用されない。公正な取引、公正な説明が必須です。

違約手付

手付の一種で、債務不履行が発生した場合には、手付が没収される(または手付の倍額を償還する)という手付のこと。

例えば、売買契約において買主が違約手付1万円を交付したとき、買主に債務不履行(代金支払義務の不履行)が発生すれば、その1万円は没収される。反対に、売主に債務不履行(引渡し義務の不履行)が発生すれば、売主は買主に2万円を償還しなければならない。
このような違約手付は、損害賠償額の予定と解される。

わが国では、手付とは原則として解約手付とされているが、解約手付であると同時に違約手付であってもよいとされている。

入会権

一定の地域の住民が特定の森林、原野、漁場等を共同で利用する権利。民法で物権として認められている権利である。入会権の対象となっている土地を「入会地」という。

民法は、入会権を、利用する土地等を共有する性質がある場合と特定の目的に従って利用するだけの性質の場合に分類し、前者は所有権の共有の規定を、後者は地役権に規定をそれぞれ準用するとしたうえで、地域の慣習に従うとしている。もっとも、民法は入会権の内容についてなんら規定しておらず、その内容、効力等は地域の慣習によって定まることとなる。

入会権を有する人々の集団が「入会団体」で、その大部分は「代表者が定められていない権利能力なき社団」であると考えられている。そして、入会権による使用収益や入会地管理の形態は、慣習に応じて区々であって、明確でない場合もある。

なお、入会地の農林業上の利用を増進するため、「入会林野等に係る権利関係の近代化の助長に関する法律」に基づき、入会権利者の合意によって入会権を消滅させ権利関係を明確にするしくみが定められている。

入母屋屋根

屋根形式の一つで、上部が切妻屋根(両側に勾配のある屋根)、下部が寄棟屋根(四方に勾配のある屋根)のかたちのもの。昭和後半に多いですよね

遺留分

被相続人の兄弟姉妹以外の相続人に対して留保されなければならない相続財産の割合をいう。

原則として相続財産は被相続人が自由に処分でき、推定相続人の相続への期待は権利として保障されないが、相続が相続人の生活保障の意義を有すること、被相続人名義の財産には相続人の潜在的持分が含まれていることが多く、これを顕在化させる必要があることなどから、相続財産の一定割合について相続人に権利を認めている。遺留分は、相続開始1年前に贈与された遺産などを合算して、直系尊属のみが相続人の場合は遺産の3分の1、それ以外の場合は全体で遺産の2分の1とされている。

囲炉裏

部屋の床を切り込んで灰を敷き、炊事や暖房に使う炉。一般に、板敷の部屋に設けられる。燃料は、薪や炭である。

囲炉裏には、通常、自在鉤(天井から吊るす先端が鉤状の道具)や五徳(金属製の台)が設置され、調理に利用される。

なお、囲炉裏は設置場所が固定されているが、同様の炉をポータブルにしたのが「火鉢」である。囲炉裏で食べるご飯は最高です

印鑑証明書

捺印された印影(印を紙などに押した跡のかたち)が、あらかじめ届けられた印影(印鑑)と同一であることを証明する官公署の書面。届出できる印鑑は一つに限られている。

公正証書の作成、不動産登記、重要な契約などの際に、文書作成者が本人であることを証明するため必要とされる場合が多い。

印鑑証明書の交付は、個人の印鑑については、通常、市区町村長が条例等に従って行なうが、商業登記に当たって提出した印鑑については登記所が担当する。 

印鑑届けをした印影を生む印が「実印」である。今はコンビニが主流?

印鑑証明・会社の

株式会社・有限会社等の法人が、売買等の契約を行なう場合には、契約書に代表者印を押印するのが通例である。

このような代表者印について、その代表者印が、登記所に対して印鑑届けを行なった正式なものであるということを、登記所が公的に証明した書面のことを「印鑑証明」と呼んでいる。

印鑑証明・個人の

個人があらかじめ市区町村役所において印鑑登録を行なった実印について、その実印が印鑑登録された正式なものであるということを、市区町村長が公的に証明した書面のことを「印鑑証明」と呼んでいる。

印紙税

契約書、受取書、証書、通帳などを作成する際に課税される税金。国税である。

印紙税は、印紙税法に定められている20種類の文書(課税文書)に対して課税される。例えば、不動産売買契約書、建築工事請負契約書、土地賃貸借契約書、代金領収書などは課税文書であるが、建物賃貸借契約書や不動産媒介契約書は課税文書ではない。

納付方法は、課税対象となる文書に収入印紙を貼り、その収入印紙に消印を押すことによって納税が完了する。この場合に、契約等において両当事者が文書を2通作成するときにはその2通についてそれぞれ印紙税を納付しなければならない。

印紙税を納めなかった場合には、印紙そのものを貼付しないときは納付すべき金額の3倍(自ら申告したときは1.1倍)、消印をしないときは消印をしない印紙と同額の「過怠税」が課税される。

印紙税額は、文書の種類および文書に記載された契約金額等に応じて定められている。

なお、不動産の譲渡に関する契約書および建設工事の請負に関する契約書については、税率の引き下げが措置されている。ただし、この特例の適用については期限が定められているので、具体的な期限について確認が必要である。

インスペクション

住宅インスペクション」を参照。

インスペクター

建物の状況を検査・調査すること(建物の住宅インスペクション)に関する専門的な知識・技能を有すると認められた者。英語のInspectorであるが、英語では建物の検査・調査を行なう者に限定せず広く“検査官”を意味している。

(日本における)インスペクターは通称であって公的な資格ではないが、一般に、「既存住宅インスペクション・ガイドライン」に基づく一定の講習等を履修して住宅インスペクションを実施できる者を指している。そのための講習等は、各種の団体が実施している。

また、2017年2月に「既存住宅状況調査技術者講習登録規程」が制定され、国土交通大臣が登録した機関によって「既存住宅状況調査技術者講習」を実施する仕組みが制度化された。この講習は住宅のインスペクションに関するものであり、これを修了した「既存住宅状況調査技術者」もインスペクターである。

なお、宅地建物取引業法に基づき、宅建業者は、
1)既存住宅の媒介契約に当たって交付する書面に、建物状況調査を実施する者のあっせんに関する事項を記載しなければならず、
2)重要事項説明に当たって、建物状況調査に実施の有無及びその結果の概要を説明しなければならない
とされているが(2018年4月1日から適用)、この場合の建物状況調査に当たるインスペクターは、建築士または国土交通大臣が定める講習を修了した者でなければならない。

インターホン

交換機なしで相互に通話できる電話装置。英語でInterphone。

マンションにおいて共用玄関と各戸のあいだで通話するなど、建物の内外で通話するときに用いられることが多い。広義には、船舶、工場、事務所などで用いられる構内専用回線による通話設備もインターホンである。通話と同時に通話者の映像を送信することができる装置もある。

インターホンによる通話・映像伝達は電気通信事業に該当せず、インターホンは自由に設置・運用してかまわない。

インテリア

本来は、建物の内部空間の全体を指す言葉である。

住宅の場合でいえば、室内の天井・壁・床の内装材と、家具・調度品のすべてが「インテリア」である。
また一般的には、家具と調度品のみを「インテリア」と呼ぶことも多い。

インテリアコーディネーター

家具や住宅設備などのインテリアを選択し、住む人にとって快適な住空間を作るために適切な提案を行なう専門家。インテリア商品の知識を提供するだけでなく、顧客と相談しながら、空間のデザイン、性能、快適性などを考え、費用を考慮して住空間を具体化することが求められる。

その知識、技能を認定する試験として(公社)インテリア産業協会が実施するインテリアコーディネーター資格試験がある。

インテリジェントビル

高付加価値のオフィスビルのことで、高度情報化建築物といわれることもある。

はっきりした定義があるわけではないが、空調、電気、セキュリティなどの設備を自動的に制御し、建物内に情報通信ネットワークを構築して、オフィスオートメーションやテレコミュニケーションに対応できることなどが特徴である。省エネ、省コストに資するともいわれる。

英語ではスマートビルと称することが多い(英語で、インテリジェントIntelligentは「賢い」、スマートSmartは「気の利いた」という意味である)。

インナーバルコニー

屋外に開かれた部屋状の空間。屋外とのあいだに壁がない一方、バルコニーと違って屋根を備えている。形状はベランダと似ているが、部屋として利用でき、原則としてその床面積容積率に算入される。あったら便利なバルコニー。

インパクトドライバー

回転力に打撃力を加えた電動ドライバー。英語のimpact driver。強い力で締め付けることができるが、使う際に技術を要する。

内装作業や建築現場でよく使われている。

インフラ長寿命化

インフラストラクチャー(社会資本)の維持管理や更新を戦略的に推進し、その機能を確保する政策が進められている。「インフラストラクチャー」の略語が「インフラ」である。

インフラは、治山治水等の国土保全基盤、道路・鉄道・港湾・空港等の社会経済活動基盤、上下水道・公園・学校等の生活基盤などで構成されているが、過去から蓄積されてきたそれらについて、その機能の劣化を防止し、社会経済状況の変化を含めた中長期的なニーズに応えることが求められている。そこで、政府が主導して、インフラの寿命を長期化するための施策が展開されている。
主な施策は次の通りである。

1)インフラを安全・強靱に維持・確保するために、センサー、ロボット、非破壊検査技術等による点検・補修の高度化、新材料の実用化などを推進する。
2)インフラを総合的・一体的に管理するために、メンテナンスサイクルの構築、予防保全型維持管理の導入、維持管理の容易な構造の選択などを推進する。
3)メンテナンス産業を育成するべく、新技術の開発・導入、市場の創出・拡大などを推進する。大事です。

インフラファンド

金融商品の一つで、インフラストラクチャー(社会基盤)を投資対象とする投資法人または投資信託をいう。2015年に取引所に上場することが認められた。英語でInfrastructure fund。

インフラファンドは、インフラストラクチャーを保有・運用して得た収益を投資家に配分するしくみであって、その基本的な構造はREITと同じである。違いは、REITは不動産を投資対象とするのに対して、インフラファンドはインフラストラクチャーを対象とすることである。

投資対象とされるインフラストラクチャーは限定されていないが、大規模太陽光発電施設(メガソーラー)に対する投資が目立っている。

インフラ・インフラストラクチャー

生活や産業活動の基盤となっている施設。「インフラ」は「インフラストラクチャー」を略した言葉で、英語のinfrastructureである。直訳すると「下部構造」であるが、「社会的基盤施設」または「社会資本」と訳されることが多い。

インフラとされている施設は、公共的な機能を担う施設で、道路、治水施設、港湾、鉄道、公園、上下水道、通信施設、エネルギー供給施設などが含まれる。また、広義には、これら公共施設のほか、教育、医療、社会福祉などの社会サービスを提供するための施設を加えている場合もある。

その多くが公共財の性質を帯びていること、社会の統合や安定の維持に不可欠であること、長期的な視点で計画的に整備・管理する必要があることなどから、その整備・管理は、政府が直接に担い、あるいは政府による強い監督のもとで実施されている。また、それら施設が満たすべき機能や構造については、法律に基づいて基準が定められている。

インボイス方式

定められた形式の書類に基づいて消費税額を算定する制度。「適格請求書等保存方式」ともいう。

インボイス方式は、仕入れ税額控除に当たって、定められた形式の書類(インボイス)に記載された税額のみを認めることとなるため、消費税を適切に課税することができるとされている。

インボイス方式を実施するには、インボイスの発行事業者を登録するなどのしくみを整備する必要がある等のため、その適用は、2023年10月1日からの予定である。

ESG投資原則

投資に当たって、環境(environment)、社会(social)、企業統治(governance)に配慮している企業を重視・選別する原則。

投資先の評価において、財務指標のみでなく、環境、社会、企業統治を評価することが、結局は企業の持続的成長や中長期的収益につながり、財務指標には現れにくいリスクを排除できるという考え方に基づいた行動原則である。

ESG投資原則による投資においては、たとえば、地球温暖化対策や生物多様性の保護活動(環境面)、人権への対応や地域貢献活動(社会面)、法令遵守、社外取締役の独立性、情報開示(企業統治面)などの実績や計画が重視される。

ESG投資の手法には、議決権行使等によって投資先企業にESGへの配慮を促す方法、ESGへの配慮に消極的な企業には投資しない方法、ESGに配慮した事業に対して優先的に投資する方法などがある。この場合の投資先には、都市開発や不動産開発が含まれる。また、投資だけでなく融資についても同様である。

なお、国連は、2006年に公表した「責任投資原則(PRI)」において、ESGへの配慮を反映した投資行動を促している。

ETF

株価指数等の特定の指標と連動して運用される投資信託などの金融商品。Exchange Traded Fundsの略。上場されている。

指標と連動する方法は二つある。

ア)現物拠出型
指標算定の対象とされている現物の集合(たとえばTOPIX連動であれば、東証第1部に上場されている全銘柄の株式、これを株式バスケットという)を組成し、その持分を受益権のかたちで証券化する方法。これによって、当該証券は指標と同様の値動きをすることになる。
イ)リンク債型
指標と価格が連動する債券(リンク債)に対して投資し、その受益権を金融商品化する方法。この場合、リンク債の発行者は、償還価格が指標の動きに連動することを保証している。

e内容証明

インターネットを通じて差し出す文書について、その内容を証明し配達するサービス。日本郵政が提供している。

e内容証明を受ける文書は、インターネットを利用していつでも差し出すことができ、自動的に内容証明文書が作成・照合され、封入封緘されて内容証明郵便として発送される。

EBITDA

Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation and Amortizationの略。利益指標の一つで、税引前の利益に支払利息と減価償却費を加算して算出する。

利益の水準は、一般的に、利息負担、税制、会計基準などに左右されるため、その国際的な比較に当たっては注意が必要だが、EBITDAはその違いを最小限に抑えて利益を把握できる指標とされている。

国際的な企業で子会社を管理するための指標として活用されている他、株価の評価に当たってEBITDAに対する企業価値(EV、負債プラス株式時価総額)の比率(EV/EBITDA)を比較したり、有利子負債の返済能力を見るための利益水準としてEBITDAを評価するなどの活用例がある。

イールドギャップ

投資の実質利回りと金利との差をいう。英語ではYield gap。投資判断の目安として使われる。例えば、イールドギャップが大きければ当該投資は割安であると考えられている。

イールドギャップを算出する場合の金利は、長期国債の金利や銀行からの借入金利が用いられる。

イールドスプレッド

金融商品間の利回りの差をいう。英語ではYield spread。金融商品の利回りを比較することは、市場を分析して、投資を適切に判断するための方法となり得る。

一般に、イールドスプレッドが大きい場合は利回りが小さいほうの商品が割高、小さい場合は割安であると考えられている。

ウィークリーマンション

短期間の居住のために賃貸されるマンションをいう。「短期賃貸マンション」ともいわれる。

家具、家電製品、食器・調理器などが備わっていて、一時的な滞在の便を満たすことができる。また、賃貸住宅に比べて賃貸借の手続きが簡単である。

ウィークリーマンションの営業は、旅館業法による宿泊営業または不動産賃貸営業(貸室業)のいずれかにあたるが、その基準は明確ではない。一応の目安として、賃貸期間が1ヵ月を超えていれば貸室業であるとされている。

ウィークリーマンションを宿泊営業に充てる場合には、旅館業法による許可が必要で、一定の設備の設置等が求められる。

Web内覧会

インターネットを使って自宅の室内の様子などを公開すること。Web内覧会専用のホームページもある。公開されるのは、間取り図、内装、設備、部屋の雰囲気などで、通常、居住者のコメントが付されている。

ウォークインクローゼット

ウォークイン、つまり歩いて入れるクローゼット、衣類の押入のこと。衣装ダンス、衣裳戸棚を指すワードローブは家具のニュアンスが強いのに対して、ウォークインクローゼットは造り付け家具、ないし部屋の意味に使われることが多い。収納はいくらあってもうれしい。

WIC

ウォークスルークローゼット

通り抜けできるクローゼット(衣服の収納空間)。英語のwalk through closet。

部屋間の通路の壁面を利用して設置されることが多く、ウォークインクローゼットと違って扉がない場合が多い。

ウォーターハンマー

水管内の圧力が瞬間的に上昇または下降する現象。その際に、管に衝撃や振動が加わる。英語のwater hammer。

水流が急に停止することによって起き、強いウォーターハンマーによって管路や設備が破損する恐れもある。その防止には、サージタンクの設置、空気弁の設置、管口径の拡大などが有効である。

浮床工法

歩行音やピアノ等の演奏に伴う音の振動が、床を伝わって伝搬しないようにするための工法。主構造体に防振材を据え付け、音を遮断・絶縁する。

請負契約

当事者の一方がある仕事を完成することを、相手方がその仕事の結果に対して報酬を支払うことをそれぞれ約束する契約。例えば、住宅の建築工事、洋服の仕立て、物品の運搬などの契約がこれに該当する。

請負契約の目的は、仕事の完成であって労務の供給ではないから、仕事の目的物が定まっていて、通常は、目的物を引き渡すことで仕事が完成する。

請負契約については民法に一般的な規定がある。また、たとえば建設工事の契約に関しては建設業法、運送契約については商法等のような特別法の適用がある。

民法は、
1)請負契約による報酬は目的物の引渡しと同時に支払わなければならないこと
2)引き渡した目的物が契約不適合の場合には、注文者は、補修等の追完請求報酬減額請求損害賠償請求、契約解除をすることができること(ただし、与えた指図等によって生じた不適合を理由にすることはできない)
3)契約不適合による請求等をするためには、原則として、不適合を知った時から一年以内にその事実を通知しなければならないこと
4)請負人が仕事を完成しない間は、注文者はいつでも損害を賠償して契約を解除できること
などを定めている。

なお、民法には、請負人の担保責任の存続期間について特別の定めがあったが、民法(債権関係)改正(施行は2020年4月1日から)によって削除された。ただし、住宅の新築工事の請負に関しては、特定の部位についての契約不適合責任の存続期間は10年とされている(住宅の品質確保の促進等に関する法律)。

請負人の瑕疵担保責任

請負契約によって引き渡した目的物(例えば、建設工事請負によって完成した建物)が種類または品質に関して契約の内容に適合しない場合に、請負人が負うこととなる責任。民法の規定による契約不適合責任のひとつで、これを「瑕疵担保責任」という。

請負人に契約不適合責任を負わせるためには、注文者は、追完請求(補修等の実施を求める請求)、報酬減額請求損害賠償請求または契約解除権の行使をしなければならない。

民法は、契約不適合責任を負わせるためには、注文者は、原則として契約不適合を知った時から1年以内に不適合である旨を通知しなければならないとしている。ただし、請負人が不適合を知っていたときまたは重大な過失によって知らなかったときはその限りではないとされている。

また、請負人は、知りながら告げなかった事実等についての契約不適合責任については免れることができないが、それ以外の事由による契約不適合については責任を負わない旨の特約をすることが認められている。

しかしながら、住宅の品質を確保するため、新築住宅の工事請負契約については、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づき、契約不適合責任(瑕疵担保責任)について次のような特例が定められている。

(1)新築住宅の「構造耐力上主要な部分」および「雨水の浸入を防止する部分」の契約不適合(瑕疵)について、請負人は、注文者に住宅を引き渡した時から10年間、契約不適合責任(瑕疵担保責任)を負う。
(2)契約によって、(1)の瑕疵担保期間を20年以内に延長することができる。

この特例は強行規定であり、特約によって責任を免れることはできない。

なお、民法には、請負人の瑕疵担保責任の存続期間等について特別の規定があったが、民法(債権関係)改正(施行は2020年4月1日から)によって削除され、契約不適合責任に統合・整理された。

受付番号

それぞれの登記所で登記申請を受け付けた順序に従って、その登記に付けていく番号のこと。

登記記録では、甲区乙区のそれぞれで、登記の時間的順序に従って、順位番号が付けられる。この順位番号では、区を越えた登記の前後が分からない。
そこで、区を越えて登記の先後を知るためには、通し番号である「受付番号」で判断することになる。

雨水浸透阻害行為

雨水の浸透を妨げる恐れがあるとして、その実施に当たって都道府県知事等の許可を必要とする行為をいう。「特定都市河川浸水被害対策法」に基づき制限される行為である。

許可を要するのは、次のすべてに該当する場合である。

(1)市街化の進展によって河道等の整備による浸水被害の防止が困難であるとして指定された都市河川(特定都市河川)の流域内における行為
(2)宅地等にするための土地の区画形質の変更、土地の舗装、排水施設を伴うゴルフ場等の設置、ローラー等による土地の締め固めなど一定の行為
(3)行為に係る面積が原則として1,000平方メートル以上
雨水浸透阻害行為について許可が必要であることは、宅地建物取引における重要事項説明の対象とされている。

なお、特定都市河川流域においては、雨水浸透阻害行為に伴って設置した雨水貯留浸透施設の機能を阻害する恐れのある行為について許可を要するほか、保全調節池の埋立て、敷地での建築物の新改築などについて届出が必要である。これらの制限についても、宅地建物取引の営業における重要事項説明の対象とされている。

雨水の浸入を防止する部分

住宅の品質確保の促進等に関する法律品確法)で定められた雨水の侵入を防止するための住宅の部分のこと(品確法第87・88条、同法施行令第6条第2項)。

具体的には次の部分が「雨水の浸入を防止する部分」に該当する。

1.住宅の屋根と外壁 (具体的には屋根・外壁の仕上げ・下地などを指す)
2.住宅の屋根・外壁の開口部に設ける戸・枠その他の建具 (具体的にはサッシなどを指す)
3.雨水を排除するため住宅に設ける排水管のうち、住宅の屋根もしくは外壁の内部または屋内にある部分

このような「雨水の侵入を防止する部分」については、住宅品質確保法により、新築住宅に関する10年間の瑕疵担保責任が義務付けられている。
(詳しくは「請負人の瑕疵担保責任(品確法における~)」、「売り主の瑕疵担保責任(品確法における~)」へ)

内金

内金とは、売買契約が成立した後に、売買代金の一部として買主から売主へ交付される金銭のこと。

手付が売買契約が成立する際に交付されるのに対して、内金は契約成立後に交付されるという違いがある。

また、手付は契約の義務が履行されれば代金に充当されるのに対して、内金は交付される時点ですでに代金の一部である。

内法

建物床面積を測定する際に壁の厚みを考慮せず、壁の内側の部分の面積だけを「床面積」とする考え方のことである。

不動産登記法では、分譲マンションなどの区分所有建物を登記する場合には、この内法の考え方で床面積を計算することとされている(不動産登記法施行令第8条)。

この反対に、建物の床面積を測定する際に、壁の厚みの中心線を想定し、この中心線に囲まれた面積を「床面積」とする考え方のことを「壁心(へきしん・かべしん)」という。

ちなみに建築基準法では、建築確認を申請する際には、建物の床面積はこの壁心の考え方で測定することとしている(建築基準法施行令2条1項3号)。

従って、分譲マンションなどの区分所有建物については、建築確認を申請する際には床面積を「壁心」で求めるが、その後に登記をする際には床面積を「内法」で求めているのである。

ウッドデッキ

庭の一部に設けられた木製の床で、居間等と連続した造りになっているものを「ウッドデッキ(木の甲板)」という。

埋戻し

埋設物の設置工事において、掘削した土砂等をもとに戻すことをいう。

地震時に、埋め戻した土砂等が液状化して、埋設物に被害が生じることがあるため、埋戻し土を適切に選択すること、埋戻し部を締め固めまたは固化することなどが必要とされる。

下水道などの官路については、特に適切な施工が求められる。

売建住宅

開発した宅地を分譲する際に、同時に宅地の購入者がその宅地に建設する住宅を分譲事業者に発注する方法で建てられた住宅をいう。

建売住宅」の建築主は不動産会社であるのに対して、「売建住宅」の建築主は宅地の購入者である。建売住宅に比べて設計などの自由度は高いが、建築を請け負う業者はあらかじめ決められている他、用意された建物の設計モデルから選択して発注することが多い。

なお、宅地分譲の方法は、大きく、宅地のみの分譲(更地分譲)と住宅付の分譲(建売分譲)に分かれるが、売建住宅はその実態を照らせば後者の類型に近いと考えてよい。また、宅地分譲の際に一定期間内に住宅を建設することを条件とする方法(建築条件付宅地分譲)があるが、売建住宅はこの方法の一つでもある。

売主

不動産売買契約において、不動産を売る人(または法人)を「売主」という。

また不動産広告においては、取引態様の一つとして「売主」という用語が使用される。

この取引態様としての「売主」とは、取引される不動産の所有者(または不動産を転売する権限を有する者)のことである。

売り主の瑕疵担保責任

売買契約によって引き渡した目的物(たとえば、販売した住宅)が種類または品質に関して契約の内容に適合しない場合に、売り主が負うこととなる責任。民法の規定による契約不適合責任のひとつで、これを「瑕疵担保責任」という。

売り主に契約不適合責任を負わせるためには、買い主は、追完請求(補修等の実施を求める請求)、代金減額請求損害賠償請求または契約解除権の行使をしなければならない。

民法は、契約不適合責任を負わせるためには、買い主は、原則として契約不適合を知った時から一年以内に不適合である旨を通知しなければならないとしている。ただし、売り主が不適合を知っていたときまたは重大な過失によって知らなかったときはその限りではないとされている。

また、売り主は、知りながら告げなかった事実等についての契約不適合責任については免れることができないが、それ以外の事由による契約不適合については責任を負わない旨の特約をすることが認められている。

しかしながら、住宅の品質を確保するため、新築住宅の工事請負契約については、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づき、契約不適合責任(瑕疵担保責任)について次のような特例が定められている。
(1)新築住宅の「構造耐力上主要な部分」及び「雨水の浸入を防止する部分」の契約不適合(瑕疵)について、売り主は、注文者に住宅を引き渡した時から10年間、契約不適合責任(瑕疵担保責任)を負う。
(2)契約によって、(1)の瑕疵担保期間を20年以内に延長することができる。

この特例は強行規定であり、特約によって責任を免れることはできない。

なお、民法には、売り主の瑕疵担保責任について特別の規定があったが、民法(債権関係)改正(施行は2020年4月1日から)によって削除され、契約不適合責任に統合・整理された。

売渡証書

不動産売買契約の内容を簡潔に要約した書面のことを「売渡証書」という。

この売渡証書は、売主または買主からの依頼により、登記手続きを担当する司法書士が不動産売買契約書をもとにして作成するのが一般的である。
売渡証書の記載内容は「売主の住所氏名」「買主の住所氏名」「売買される不動産の概要」である。
この売渡証書は「所有権移転登記の原因を証する書面」として、所有権移転登記を申請する際に、登記所に提出される。

売渡承諾書

不動産の売買において、当該物件を売り渡す意思があることを表明する書面で、売主が買い受け希望者に対して交付する。書面には、売り渡し価格や売渡条件等が記載されている。

売渡承諾書は契約締結が可能である旨を表明するものであって、契約に至る過程で交わされる確認等のための文書に過ぎず、それを交付しても契約の申し込みや承諾の効果はないとされている。

ただし、売渡承諾書の交付によって一定の信頼関係が形成されることとなるので、売渡承諾書を交付したにもかかわらず合理性に欠ける理由等で契約に至らなかった場合には、信義則に反するとされることがある。

上物

土地の上に建物が存在しているとき、この建物を「上物」と呼ぶ。

土地に上物がある場合には、土地の状態を示すとき「上物あり」などと表示することが望ましい。

また、不動産広告においては、取引する土地の上に古家、廃屋等の老朽化した上物が存在する場合には、その旨を明示しなければならないとされている(不動産の表示に関する公正競争規約施行規則)。

エアコン

室内の空気温度・湿度を調整する設備。英語のAir conditionerを略した和製語。

エアコンは、冷媒ガスを循環させ、圧縮することによる放熱と減圧することによる吸熱を交互に繰り返すによって、冷媒ガスと接触する空気を暖め・冷やすしくみである。この暖め・冷やす装置が熱交換器であるが、一方を室内に他方を室外に置く(室内機・室外機)ことによって、室内を冷暖房する。エアコンが働くのは冷媒ガスが熱を運搬しているからであって、空気は室内外を出入りしてはいない。

家庭用エアコンの方式には、室内機と室外機を分離してダクトで繋ぐセパレート型と、両者を一体化して窓の内外に置く窓付け型(窓付けエアコン)とがあるが、広く普及しているのはセパレート型エアコンである。

なお、かつて冷媒ガスとしてフロンガスが使われていたが、オゾン層を破壊することが判明してその使用は禁止されている。また、その代替品(代替フロン)も温室効果ガスのひとつであることから、ノンフロン物質の使用が始まっている。

営業保証金

宅地建物取引業者が営業を開始するにあたって、供託所に供託しなければならない金銭。この保証金は、宅地建物取引業者との取引によって生じた債権の履行を担保する機能を果たす。

営業保証金の額は、主たる事務所につき1,000万円、その他の事務所につき事務所ごとに500万円である。

なお、宅地建物取引業保証協会の社員は営業保証金を供託する必要はなく、代わりに同協会に対して弁済業務保証金分担金を納付しなければならないとされている。分担金の額は、主たる事務所につき60万円、その他の事務所につき事務所ごとに30万円である。

営業利益

企業会計上の概念で、企業の一般的な営業活動から生まれた利益をいう。

当期の損益計算書をもとに、営業収益(売上高)から売上原価を引き(その値が売上総利益)、さらに販売費および一般管理費を差し引いて算出される。
営業利益=営業収益-売上原価-販売費・一般管理費
この値は、企業の営業活動の成果を示すこととなる。

営業利益の営業収益(売上高)に対する割合が「営業利益率」であり、営業活動を分析するときの基礎データとされる。なお、営業利益がマイナスの場合は営業損失という。

永小作権

小作料を支払うことにより、他人の土地で耕作または牧畜をすることができるという権利(民法270条)。

1952(昭和27)年以前には、地主が小作人に小作地として土地を使用させる方式がとられていたため、小作人は永小作権者として土地を使用していたが、1952(昭和27)年の農地法制定により、そうした前近代的な地主・小作関係はほとんど姿を消した。このため今日では永小作権は殆ど残存していない(なお今日では農地の貸与は賃借権によって行なわれている)。

HRC

Hard Reinforced Concrete=高強度コンクリートのこと。

設計基準強度が大きいため、超高層RCSRC建築物が可能である。また、高強度化により柱、部材の断面を低減しスパンを長く取ることができるため、コストダウンや空間自由度が増大する一方、工期を短縮できるメリットがある。

HPC

鉄骨とコンクリートパネルとを組み合わせる建築構造。英語のHard Precast Concreteの略語。

現場で組み立てた重量鉄骨(H形鋼)に、あらかじめ製造されたコンクリートパネル(PC部材)を接合する工法で構築する。現場でのコンクリート打設工事が不要となるなどの特徴があり、中高層マンションに使われる場合が多い。

液状化

地震の際に地盤が液体状態となる現象をいう。

水分をたくさん含んだ砂質の地盤で発生する。

地震による強い振動によって砂粒の間にある水分の圧力(間隙水圧)が高まり、砂粒の動きが自由になるために生じる。その結果、地上構造物の沈下や倒壊、地中構造物の浮き上がり、地盤の水平方向への移動(側方流動)、水と砂の吹き上げ(噴砂)などが起きる。
新潟地震(1964)でその発生が確認され、その後、阪神・淡路大震災(1995)や新潟県中越地震(2004)でも発生した。また、東日本大震災(2011)では、千葉県浦安市をはじめ広範囲に発生し、大きな被害をもたらした。

なお、液状化あるいはそれによる被害を防ぐための工法が開発されている。

役務提供型契約

私法上の概念で、役務(労働サービス)の提供に関する契約をいい、売買、賃貸借と並ぶ主要な契約類型のひとつである。民法で規定されている雇用、請負、委任、寄託のほか、商法上の仲立、問屋、運送などのための契約がこれに該当する。また、不動産取引の仲介(媒介)契約も役務提供型契約である。

役務提供型契約は、提供する役務・サービスの性質に応じて、有償・無償の別、成果物引渡の要否、報酬請求のあり方などについてさまざまなかたちがあり、発生する権利義務関係も多様である。そのため、民法で規定されている契約(典型契約)の既定によっては十分に対応できないのではないか、当事者間の交渉力等の違いによって利益を害することのないように配慮する必要があるのではないかなどの視点から、役務提供型契約の共通ルールを定めること等の必要性について議論がある。

エクイティ

株主資本のこと。その資金は、新株や新株予約権付社債の発行などにより調達される。投資家にとっては、返済期限が定められていない資金の供与であり、その資金が利益の拡大に貢献する投資に充当されるよう監視が必要となる。

エクイティに対してデット(Debt)という用語があるが、デットは、返済期間や金利が定められ、社債発行や銀行借入などにより調達される他人資本である。

不動産の証券化に当たっては、不動産の価値を担保に資金を調達するが、その際にエクイティとデットをどのように組み合わせるかが重要となる。一般に、エクイティファイナンスのほうがハイリスク・ハイリターンであるといわれている。

エクステリア

本来は、建物の外観や建物の外壁を指す言葉であるが、わが国の不動産業界・建築業界では、建物の外周りに設置される工作物等を総称して「エクステリア」と呼んでいる。

具体的には、住宅の場合でいえば、門扉、塀、生垣、庭、カーポートなどのことである。

エクステリアプランナー

建物の外構(塀、外庭など)の設計や工事監理を行なう専門家。

外構の設計に当たっては、緑化や景観保全などについての知識・技能も必要であると考えられている。

なお、エクステリアプランナーとしての能力を認定する任意資格がある。

エクスパンションジョイント

構造体を分割して変位に対応する工法における継ぎ目。Expansion joint。分割された構造体は相互に力を伝えない。

対応が必要なのは、温度変化による収縮・膨張の変位、地震時の震動変位などが大きい場合や、変位性状が異なる構造体を一体化する場合である。

対応の方法は、構造体のあいだに隙間(クリアランス)を確保し、継ぎ目に変位に追従する部材を設置する。部材の材質は、アルミニウムやステンレスである。

エコウィル

ガスを用いて熱と電力とを同時に供給する家庭用装置のひとつ。小型のガスエンジンによって発電し、その際に発生する熱を給湯や暖房に利用する方法の愛称である。

熱と電力とを同時に供給することを「コジェネレーション」という。エコウィルは、ガスを燃焼して動力を得る装置(ガスエンジン)を用いたコジェネレーション手法の愛称である。一方、同様にガスを動力源とするが、燃料電池を用いるコジェネレーション手法の愛称は「エネファーム」という。

エコウィルはエネファームよりも安価な手法であるが、給湯をメインにした装置であるため貯蔵する湯量を超える発電はできない。

エコキュート

ヒートポンプ(熱媒体の圧縮・膨張サイクルによって低温の熱を高温に移す技術)を利用して、大気の熱で湯を沸かして給湯する機器。エコキュートという名前は「エコ」と「給湯」をつないだ統一商品名である。

熱媒体を圧縮するための動力源として電力を使うが、発熱のためのエネルギーとしては電力を利用しないため、水を直接に熱して給湯する場合と比べてランニングコストが小さく、環境負荷も少ないとされている。

エコスタイル

環境負荷が小さい生活様式。和製英語。

例えば、適正冷房の徹底、夏季の軽装勤務、3R(Reduce、発生抑制)、(Reus、繰り返し利用、(Recycle、再利用)によるごみ減量化などを取り入れた生活は、エコスタイルである。

エコハウス

環境への負荷を抑えるための対策を講じた住宅のこと。
対策の目標は、省エネルギーや再生可能エネルギーの使用、資源の再利用、廃棄物の削減などであり、具体的には、屋上緑化や雨水の再利用、太陽光・風力エネルギーの利用、ゴミの減量などが実施される。

その基準として、例えば(一財)建築環境・省エネルギー機構が定めた「環境共生住宅認定基準」があるが、この基準では、環境負荷の抑制だけでなく、バリアフリー化や室内の空気質の維持(シックハウス対策)なども要求されている。

エコロジカル

自然環境と調和している様子。英語でecological。

エコロジカルという言葉は、環境保全に対する関心や、自然環境との調和や環境負荷の低減を求める必要などが高まるなかで、その要請に応えるような行動を意味する言葉として使われている。その起源は、自然における生物の相互関係を解明する科学である生態学(ecology)の形容詞である。

SI

スケルトン・インフィルのこと。

スケルトンとは骨組ともいえる躯体や共用設備、インフィルは、住戸専有部分の内装・間仕切りや設備。これらを分離させることで、耐久性と可変性が得られる。

また、集合住宅において、インフィル部分を入居者の要望により間取りや使用を自由に構成する方式をスケルトン方式という。

集合住宅において、入居者の要望により各住戸の間取りや仕様を構成する方式の住宅。集合住宅においても、生活様式の多様化に対応した注文住宅を実現できるように考えられた手法。スケルトン(骨組ともいえる躯体や共用設備)とインフィル(住戸専有部分の内装・間仕切りや設備)が分離することにより、耐久性と可変性が得られる。素晴らしい。

SIC

SRC

「Steel Reinforced Concrete」の頭文字を取ったもの。
鉄骨鉄筋コンクリート構造」という意味である。

鉄筋コンクリートに、鉄骨を内蔵させた建築構造
比較的小さい断面で、強い骨組を作ることができ、粘り強さもあるため、高層建築に多用されている。

エスクロー

取引の際に、売り手と買い手の間に信頼を置ける中立な第三者を仲介させること、またはそのサービスをいう。

不動産取引の安全を確保するためにアメリカで発達した仕組みであり、最近は電子商取引の決済においても活用されている。

不動産取引の場合には、エスクローサービスを提供する第三者は、売り手からは権利証書等を、買い手からは代金を寄託され、物件の確認、決済、登記、引渡しなどの業務に当たる。もっとも、日本ではあまり広まっていない。取引当事者間に信頼感があること、宅地建物取引業者が包括的なサービスを提供していることなどの事情によるものと考えられる。

ESCO事業

省エネルギーに関する提案やそのために設備等の維持・管理などを包括的に行なう事業をいう。

サービスの提供によって軽減したコスト(光熱費、水道料金など)の一定割合を報酬とすることに特徴がある。つまり、コスト削減が実現しないときには、顧客の負担は生じない。

ESCO事業によるサービスは、ビルの省エネルギー改修事業などにおいても活用されている。

S造

Sは「Steel」のことであり、「鉄骨構造」という意味である。
鉄骨造とも。

柱とを「鉄骨」で作り、壁・床に「木質系パネル」「軽量気泡コンクリートパネル」「窯業系パネル」など使用した構造のこと。

主要な構造を形成する鉄骨の種類により「軽量鉄骨構造」と「重量鉄骨構造」に分けることができる。

SDGs

国連が定めた世界が共通に達成すべき目標。SDGsは、英語のSustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略語である。2015年から2030年までの長期的な開発の指針として、2015年9月に国連で開かれたサミットで採択された。

持続可能な開発とは、「将来の世代がそのニーズを充足する能力を損なわずに、現世代のニーズを充足する開発」である。そのための目標群がSDGsで、「貧困に終止符を打つため、経済成長を促し、教育、健康、社会的保護、雇用機会を含む幅広い社会的ニーズを充足しながら、気候変動と環境保護に取り組む」ための17の目標(ゴール)で構成されている。目標は、人間・豊かさ・地球・平和・パートナーシップという広い分野にわたって設定されていて、その達成のためには、経済成長、社会的包摂、環境保護を調和させる必要があるとしている。

また、SDGs の17の目標については、その達成を具体的に評価する全部で169のターゲット(具体目標)が定められている。たとえば最初に掲げられた目標「すべての場所におけるあらゆるかたちの貧困を終わりにする」(目標1)については、「2030年までに、すべての場所において、1日1.25ドル未満で生活する極貧の人々をなくする」(ターゲット1.1)など7つのターゲットがある。

SPE

Special Purpose Entityの略で、資産(不動産)を証券化するための事業体を総称していう。

「特別目的事業体」と訳される。資産(不動産)を保有、運用し、収益を得て、それを投資家に配分する役割を果たす。投資収益を投資家に運搬するというイメージから「ビークル(SPV(Special Purpose Vehicle)」といわれることもある。

特定目的会社(SPC)、投資法人のような特別の法律にもとづく事業体のほか、株式会社、合同会社、任意組合、匿名組合など、その形態はさまざまである。信託もその一つと考えてよい。

SPEがその役割を果たすためには、

1.得た利益をそのまま投資家に配分できること(導管体としての機能)、2.関係者の倒産等の影響が保有・運用する資産(不動産)に及ばないこと(倒産隔離の機能)、3.資産(不動産)の保有・運用におけるリスクとリターンが透明であること

の3つの要件を満たす必要があるとされる。

SPC

Special Purpose Company(スペシャル パーパス カンパニー)の略。特定の資産を担保にした証券の発行など、限定された目的のために設立された法人をいい、一般に「特別目的会社」と訳されている。また、狭義には、「資産の流動化に関する法律(資産流動化法又はSPC法)」によって設立される「特定目的会社」(TMKと略称されることがある)をさす場合もある。

不動産の証券化においては、SPCは、流動化の対象となる不動産を保有・管理し、それを裏付けに資金を調達することのみを目的に設立される。この場合、SPCの中心的な機能は、証券化に際して、二重課税の回避、倒産隔離等を可能とする特別の器としての働きであり、会社と称するが実体のないペーパーカンパニーである。通常、SPCが保有する資産の管理処分、投資家からの資金調達などの実際の業務は、一定の条件を満たす実務会社に委託される。

なお、SPCは、不動産の証券化など資産を流動化するための法人のほか、PFI事業など責任を限定した特定の事業を行なうための会社も含む広い意味で使われる場合もある。

SPCの形態は、資産流動化法に基づき設立される社団のほか、会社法に基づく合同会社の場合が多い。

SPC法

資産の流動化に関する法律」の略称。

特定目的会社または特定目的信託を用いて資産を流動化するための仕組みを定めた法律(平成10(1998)年6月公布)。

特定目的会社(SPC)や特定目的信託が、不動産などの資産を保有・運用し、その収益を裏付けとして証券や信託受益権を発行する(これにより資産が流動化される)場合の手続きやルールを決めている。

当初、流動化の対象となる資産が限定されていたが、平成13(2001)年4月の改正で、すべての財産権を対象とした流動化が可能となった。資産の有効的な活用や、多様な金融商品の開発に当たって重要な役割を果たす法律である。

越境

「越境」は、一般に、境界を越えて他の境域に入ることをいうが、ここでは通学における越境について説明する。

通学における越境とは、定められた学区とは異なる学区の学校に通学することをいう。

すべての公立小中学校や一部の公立高等学校については、住所に応じて通学すべき学校が定められ(学区の指定)、学区外の学校への入学は認めないとされている。しかしながら、一定の事情がある場合には、異なる学区の学校に入学することができるとされていて、それに基づき学区を超えて通学することが「越境通学」である。

また、特定の学校に入学するために、形式上その学区内に住所を移転し、実際は異なる学区から通学することも「越境通学」とされる。

NAV

投資信託の純資産総額。英語のNet Asset Valueの略称。不動産投資ファンドのNAVは、不動産の含み損益を加減して算定されることがある。

REITにおいては、NAVを投資口数で除した価額が一口当たりの純資産額価であり、投資判断の目安となる。

NOI

Net Operating Incomeの略。純収益という意味で、収入(賃料)から、実際に発生した経費(管理費、固定資産税など)のみを控除して求める。減価償却費のような支出を伴わない費用、支払利息のような金融費用、修繕費などの資本的な支出は収入から控除しないため、事業によって生み出される単純なキャッシュフローとなる。

例えば、不動産賃貸により得ることのできる純粋な収益額がこれに相当し、資産価値を評価する場合の指標となる。

なお、NOIから資本的な支出を控除したものがNCF(Net Cash Flow)である。

NCF

不動産経営において用いられる概念で、不動産から得る単純なキャッシュフロー収益から資本的な支出を控除した金額をいう。Net Cash Flowの略語。

不動産経営によって生み出されるキャッシュフロー収益は、家賃収入と管理コスト(減価償却費等のキャッシュフローに影響しない費用、および支払い利息等の金融費用は算入しない)との差額となる。この場合に、管理コストの算定に当たって、修繕費等の資本的支出を考慮し算入するのがNCFである。不動産鑑定評価に当たって収益還元法を用いるときには、このNCFをベースにすることが多い。

一方、資本的支出を考慮せず単純なキャッシュフローベースで収益を算定するのがNOI(Net Operating Income)である。

NGO

「Non Governmental Organization」の頭文字を取ったもの。
民間非政府組織」という意味である。

民間非政府組織とは、国連に協力する政府以外の非営利の民間団体を指す言葉である(国連憲章第71条)。

一般的には、環境問題や平和問題などに取り組んでいる大規模な非営利の民間団体のことを、「民間非政府組織(NGO)」と呼んでいる。

NPO法人

「Non Profit Organization」(民間非営利組織)のことで、福祉・医療・教育など不特定で多数のものの利益に寄与することを目的に活動する民間の非営利的な団体をいう。

民間非営利組織は、社団法人、財団法人など特別の法律によって設立されたもの以外は「権利能力なき社団」として法人格を有することができなかったが、1998年に「特定非営利活動促進法」が施行され、設立の認証によって法人格が認められることとなった。この認証を受けたNPOを、「特定非営利活動法人」という。

エネファーム

都市ガスLPガスから取り出した水素を空気中の酸素と反応させて発電し、そのときに発生する排熱で湯を沸かす設備。発電と給湯とを同時に行う仕組みで、「家庭用燃料電池コージェネレーションシステム」とも言う。エネファームという名前は「エネルギー」と「ファーム(農場)」を合成した統一商品名である。

送電ロスが生じないことや排熱を利用することからエネルギー効率が高い。一方、設置費用は高額である。また、ガスを原料としているため、自然エネルギーによる発電と違い環境負荷が皆無とは言えない。

エネルギー消費性能の表示

建築物の所有者が、その所有する建築物について、省エネ基準に適合する旨の認定を受け、エネルギー消費性能を表示することをいう。建築物省エネ法に基づく制度で、2016年4月1日から施行。

省エネ性能の表示は、当該建物の設計、一次エネルギー消費量の基準、一次エネルギー消費量からの削減率、両者の関係図、省エネ基準への適合などを記載することによって行なう。BELSはその評価のしくみのひとつである。

FIT制度

電気事業者に対して、再生可能エネルギー電気を固定された価格(固定買取価格)で、一定期間、全量を買い取ることを義務付ける制度をいう。FITは、Feed-in Tariffの略語である。

買い取りの対象となる再生可能エネルギー電気は、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスを利用して発電された電気(住宅用太陽光発電の余剰電力を含む)である。買い取り価格および買取期間は、エネルギー源ごとに、コスト低減を促す観点を含めて、入札または調達価格等算定委員会の審議によって定めることとされている。

買い取りの義務を負うのは一般送配電事業者であり、買い取った電力は、卸電力取引所を経由して小売電気事業者等に供給される。このとき、買取費用は再生可能エネルギー発電促進賦課金として電気料金に上乗せされるが、賦課金額は全国一律で、電⼒多消費事業者に対する減免措置などの負担調整が行なわれている。

この制度は、一定の価格で発電した電気の全量が確実に買い取られるため、再生可能エネルギー事業の推進を促すことになる一方、コスト低減を図るための措置が必要である。

日本では、2009年に太陽光について先行的に導入されたのち、2012年にすべての再生可能エネルギーを対象とする制度へと拡大され、2017年度には、入札制度の導入や中長期的な買取り価格の設定など、事業の効率化などに向けた競争を促すしくみが整備された。

FRP

プラスチックを繊維によって強化した複合材料。英語のFiber-reinforced plasticsの略語。「強化プラスチック」ともいう。

軽量で加工し易いプラスチックの性質と強度・弾性度が高い繊維の性質を組み合わせた材料である。安価・軽量で耐久性があり、成型等の加工が比較的容易なため、建築材、設備材料などとして使われている。

強化材として使われる繊維は、ガラス繊維、炭素繊維などである。その製造方法は、裁断した繊維をプラスチックに混合する方法と繊維をプラスチックに浸潤する方法とがある。

経年劣化で小さな割れが生じやすく補修が困難であること、リサイクル・廃棄処分が難しいこと、強い衝撃に弱いことなどの難点があるとされている。

FFO

Funds From Operationsの略。REITを評価するための指標の一つで、純収益に減価償却費と不動産の売買損益を加えて算出する。投資先不動産の運用によって生み出されるキャッシュフローのうち、投資家に配分することが可能な金額に相当する。

株式投資に当たってPERで投資先を評価するように、REITに対する投資評価の際には、FFOをその取引価格で除した価を用いることが一般的である。

FC

MLS

不動産の売り情報をリスト化・共有化して取引を支援する仕組み。不動産仲介業者に対するサービスとしてアメリカで発達した。

掲載される売り情報は当該物件の価値を評価できるものであること、リストは資格ある業者に対して広く公開されていること、取引は売り・買いの依頼を受けた業者が共同で仲介することなどが特徴とされる。

原型は業者仲間の情報共有であって古くから行なわれてきたが、情報通信技術の発達に伴って高度なサービスが提供されるようになっている。

MLSは、日本の「指定流通機構」構築に当たって参考とされた。「マルティプル・リスティング」を参照。

MBS

Mortgage Backed Securityの略。不動産を担保とした融資に係る債権を裏付けとして発行された証券で、一般にモーゲージと呼ばれる。

住宅ローン債権を裏付けとする証券がRMBS(Residential Mortgage Backed Securities)、商業用不動産担保ローンを裏付けとする証券がCMBS(Commercial Mortgage Backed Securities)である。

エリアマネジメント

地域における良好な環境や固有の価値を維持・形成・向上するための取り組みで、地域住民などが主体的に行なうものをいう。和製英語である。

エリアマネジメントは制度化された仕組みではなく、事実として行なわれている活動形態である。その内容は、まち並みの規制・誘導、地域美化、防犯性の維持・向上、空き家・空地等の活用促進、生活ルールづくり、生活支援サービスの提供、地域産業の活性化、地域イベントの実施など、多種多様である。また、その実施に当たっては、地域の住民、事業主、地権者、NPOなどがさまざまなかたちで参加し、それらの協力関係のもとで進められることが多い。

LED照明

発光ダイオード(LED)を光源とする照明器具。LEDはLight Emitting Diodeの略語で、電圧を加えると発光する半導体素子である。

LEDが発光するのは、P型半導体(正孔が多い)とN型半導体(電子が多い)を接合した素子に順方向に電圧をかけると、正孔と電子とが再結合してエネルギーが発生し、光となるからである。LED照明はその現象を利用した器具である。この場合に放出される光は、半導体を構成する化合物によって波長が異なっていて白色ではない。そのため、照明に用いるためには白色にする必要があるが、その方法には、大きく分けて、青色LEDの光を蛍光体に通して白色に変換する方法と、異なるLEDが発光する青・赤・緑の光を混光して白色にする方法とがある。現在は前者の方法が普及している。

LEDは、発光方法の特質から、白熱電球に比べてエネルギー効率が高く耐久性に優れるとされるが、高価である。

なお、白熱電球はフィラメントに通電することによって生じる熱輻射発光を、蛍光管は放電で生じる紫外線が蛍光体に当たって可視光線に変わる現象を、それぞれ利用した照明器具である。

LCCM住宅

住宅の建設から解体までの間(ライフサイクル)における二酸化炭素排出量がマイナスとなる住宅をいう。Life Cycle Carbon Minus住宅の略。

そのための手法として、
1.断熱性を高め、開口部などの可変性を確保する
2.高効率の設備機器の採用などでエネルギー利用を効率化する
3.太陽光発電などによって住宅自身がエネルギーを生産する
4.建設段階におけるCO2排出量を削減する
ことが有効だとされる。

また、その実現のためには、要素技術だけでなく、ライフサイクルCO2排出量の評価手法、省エネルギーのための環境設備設計手法の開発が必要であると考えられている。

LGS

軽量鉄骨」を参照。

L値

音をどの程度遮るか(遮音性能)を表わす単位をいう。

衝撃の伝わり方の程度によって測定し、ほとんど気にならない程度の音の伝わり方をL-50として、数値が小さいほど遮音性能が優れるように定められている。

LTV

不動産購入価格に占める借入金の割合。不動産投資ファンドにおける総資産に占める負債の割合でもある。英語のLoan To Value Ratioの略称。

LTVが高いほど投資リスクが大きいとされている。

LDK

「リビング・ダイニング・キッチン」のこと。
リビングは「居室」、ダイニングは「食事室」、キッチンは「台所」であり、リビング・ダイニング・キッチンは「居室兼食事室兼台所」という意味である。

不動産広告を規制している「不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)」では、広告中に「LDK」と表示する場合には、「居室兼食事室兼台所」として使用できるだけの広さと機能を備えていることが必要であるとしている(不動産の表示に関する公正競争規約第15条第25号)。

この場合に、最低必要なLDKの広さの目安は、居室(寝室)数が1部屋のときには8畳、2部屋以上のときには10畳以上とされている。

LPガス

可燃性炭化水素を圧縮し液化した燃料で、Liquefied Petroleum Gasの略語。日本では「液化石油ガス」と訳され、「プロパンガス」も同じ意味で使われている。

主成分は、石油から精製されるプロパン(構造式 CH3-CH2-CH3)またはブタン(構造式 CH3-CH2-CH2-CH3)で、常圧常温で容易に気化し、燃焼時の発熱量が大きい。本来無色無臭であるが、微量の硫黄系化合物で着臭されていて、液体のままボンベに充填して運搬・供給される。

なお、LPガスに似た燃料用ガスとして「都市ガス」があるが、都市ガスの主成分はメタン(分子式CH4)で、ガス管によって気体のまま供給される。

エレベーター

荷物や人をかご(籠)に載せ、その箱を主に垂直方向に移動して運搬する装置。移動空間(シャフト)、かご、ワイヤーロープ、釣り合い錘り、駆動装置、調速機などで構成される。

建築物にエレベーターを設置する場合には、建築基準法に基づいて確認・完了検査が必要とされている。また一般に、高さ31m(おおむね6~7階に相当する)以上の建築物については、エレベーターを設置しなければならない。

なお、建築基準法では、「エレベーター」「エスカレーター」「小荷物専用昇降機」を「昇降機」としている。

縁側

建物主要部の外側に張り出した板敷きの空間。「縁」は「へり・ふち」という意味である。

縁側は、和風建築において用いられ、建物の縁をかたちづくる空間デザインの一つである。
縁側のつくり方には、床板が空間の短手方向に張られ、一般に雨ざらしとなっている「ぬれ縁」と、床板を空間の長手方向に張って、外部と雨戸などで仕切った「くれ縁」とがある。

延焼

火災が他の建物に燃え広がること。炎の接触や放射熱による延焼と、飛び火による延焼とがある。「類焼」も同義。

延焼を防止するため、都市計画で「防火地域」または「準防火地域」を指定し、指定地域内の建物について、防火設備を設置すること、耐火構造または準耐火構造とすることなどが定められている。この場合に、防火設備の設置や耐火構造化が義務付けられるのは「延焼のおそれのある部分」についてであるが、この「延焼のおそれのある部分」とは、原則として、隣地境界線等からの距離が、1階にあっては3m以下、2階以上にあっては5m以下の距離にある建物部分である。

延焼防止性能

火事の際に延焼しないための建物性能。防火のために必要とされる性能のひとつである。

建築基準法においては、延焼防止性能は、建物のすべての壁・柱等に対して一律に耐火性能を要求することで確保されてきた。しかしながら、外壁や開口部など外殻の防火性能を高めれば、構造物に対して一律に耐火性能を要求しなくても延焼防止性能を確保できると考えられている。

そこで、延焼防止性能について技術的基準を整備し、防火地域準防火地域における延焼防止性能の高い建築物建ぺい率制限を10%緩和するほか、建物内部の柱等に木材を利用する設計を容認することとされている。

エントランス

建物の入り口や玄関のこと。マンションや商業ビルでは、その建物の印象に強い影響を及ぼすことが多い。

沿道地区計画

都市計画法第12条の4に規定する「地区計画等」の一つ。幹線道路の沿道の整備に関する法律に従い、都市計画によって定められる。

沿道地区計画は、幹線道路のうち交通騒音が著しく沿道に相当数の住居が密集している道路(沿道整備道路という)の沿道の地区について、緑地帯などの緩衝帯の整備、沿道の建築物建築の規制などにより、騒音被害の防止を図ろうとする計画である。

塩ビ管

ポリ塩化ビニールで作られている管。用途、太さ、長さはさまざまである。

ポリ塩化ビニールは化学製品で、耐久性があって、燃えにくく加工しやすいため、管類のほか、建設資材など幅広い用途がある。

英語名はpolyvinyl chloride(ポリビニル クロライド)で、PVCと略記される。

エンボス加工

浮き彫りに加工すること。英語のembossは「浮き彫りにする」という意味の動詞である。

紙や金属の表面に文字や模様を表す方法として広く使われている。例えば、点字、クレジットカードや自動車ナンバープレートの番号などもエンボス加工によって表示されている。

住宅設備では、壁紙などに用いられる場合もある。

AR

情報技術を活用して、現実世界に仮想の情報を重ねることによって現実感を拡張すること。英語のAugmented Reality(オーグメンテッド・リアリティ)の略語で、「拡張現実感」「拡張現実」などと翻訳されている。

たとえば、現実の部屋のなかに仮想の家具を置いてリアルな空間として知覚すること、現実の土地に仮想の建物を建築して空間的な調和や景観を確認することなどは、ARの利用例である。

なお、ARは現実をベースに人工的な情報を重ねて現実感を広げるのに対して、VR(Virtual Reality)は現実感を人工的に生み出すという違いがある。

ALC

「Autoclaved Light Weight Concrete」の頭文字を取ったもの。日本語では「軽量気泡コンクリート」と表記される。

「軽量気泡コンクリート」は、工場でセメント等に発泡剤を混ぜて、高温高圧の状態で養生したコンクリートである。その特長として軽量にもかかわらず強度があり、耐火性や遮音性にも優れていることが挙げられる。パワーボードもその類

ALC造

ALC造とは、 ALC製のパネルを使用した建築構造のことである。

以前は高級戸建住宅の外壁や間仕切りをALCとすることが多かったが、最近では賃貸マンションにもALC造が多用されるようになった。

AJFI

不動産投資ファンドの運用実績を示す指数で、(一社)不動産証券化協会が公表しているもの。ARES Japan Fund Indexの略(ARESは、Association for Real Estate Securitizationの略称)。
 
不動産インデックスは、一般的には実物不動産の平均的な価格動向を示す指数であるが、AJFIは不動産投資ファンドの平均的な収益動向を示す指数で、ファンドの運用成績を表している。

AJFIの算定は、主に賃貸収益を目的に運用される不動産投資ファンド(コア型不動産ファンドという)の当期利益(インカムゲイン)と、そのファンドが投資した不動産の純資産額の増減(キャピタルゲイン)とを加重平均する方法で行なわれ、2001年12月31日を1,000とする指数のかたちで月次に公表される。この場合、インカムゲインにはファンドが投資のために借り入れた資金の割合やコストなどが反映されているので、実物不動産の収益とは異なる動きを示す。

なお、算定の対象となるファンドは、JREIT私募ファンド(私募REITを含む)である。

AJPI

不動産投資の運用実績を示す指標(不動産投資インデックス)のひとつで、国内不動産投資の収益性等を判断する際に使われている。ARES Japan Property Indexの略語。

投資ファンドが保有する不動産の賃貸収益(インカムゲイン)と評価損益(キャピタルゲイン)をもとに、両者を加重平均し、指数化する方法で算出され、毎月公表される。

AJPIの特徴は、評価対象不動産を保有するファンドが、主に投資不動産からの賃貸収益によって運営されていることである。このようなファンドを「コア型」といい、安定性を重視する比較的低リスクのファンドとされている。

ADR

ADRは、Alternative Dispute Resolution の略語。「裁判外紛争処理」と訳され、裁判によらない紛争解決方法をいう。

紛争解決のために行政機関や民間機関が行なう斡旋、調停、仲裁などがこれに該当する。そのほか、裁判所で行なわれる民事調停・家事調停、訴訟上の和解もこれに含まれるとされる。

ADRの特徴は、紛争当事者の自主的な努力を尊重し、専門的な知見を反映して、紛争の実情に即した迅速な解決を図ることにある。
不動産紛争に関しても、いくつかのADR機関がその役割を果たしている。主なものとしては、
1.(独)国民生活センター紛争解決委員会
2.指定住宅紛争処理機関(住宅の品質確保の促進等に関する法律品確法)、特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律(住宅瑕疵担保履行法)により指定される機関で弁護士会が指定されている)
3.ADR法(裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律)によって認証された民間ADR機関
4.(一財)不動産適正取引推進機構による特定紛争処理事業(ただし、紛争当事者が直接に申し立てることはできず、一次処理機関から申請があった紛争が対象)

なお、民間賃貸住宅をめぐって多様な紛争が発生しているが、その円滑な解決のためには専門的な知見が必要となる場合が多いことから、ADRを活用することが有効であると考えられている。

ADSL

通常のアナログ固定電話回線を使用して高速で通信する技術をいう。

Asymmetric Digital Subscriber Line(非対称デジタル加入者線)の略。

通信の方向(上りか下りか)によって通信速度を変えることで通信速度の高速化を実現する手法であり、アナログ通信線にデジタル情報を乗せる方法を取るため特別の配線工事を必要としない。インターネットの利用においては、サイトからのダウンロード(下り)需要のほうが格段に大きいので、ADSLを活用すれば、画像等の大容量データの取り込み時間を容易に短縮できる。

ADSLを活用した商業用サービスは、日本では1999年に開始され、2001年に急速に普及した。この年をブロードバンド元年というのはそれゆえである。

一方、通信線として光ファイバーを利用する技術(光通信)は、ADSLよりもより高速で安定した通信を可能とするが、敷設のための配線工事が必要であることから、しばらくの間はADSLと光通信との併存が続くと予想されている(08年3月には、光通信加入世帯数がADSL回線加入世帯数を上回るに至った)。

ADL

日常生活を送るために最低限必要な動作。英語のActivities of Daily Living(アクティビティーズ オブ デイリー リビング)の略語。

介護やリハビリテーションにおいて、高齢者や障害者の身体能力や日常生活レベルを測るための指標として用いられている。

ADLは、基本的日常生活動作と手段的日常生活動作で構成される。基本的日常生活動作は、日常生活における基本的な動作で、起居・移乗・移動・食事・更衣・排泄・入浴・整容のための動作をいい、狭義のADLとされる。

手段的日常生活動作は、基本的な動作よりも複雑な動作で、掃除・料理・洗濯・買い物などの家事や交通機関の利用、電話対応などのコミュニケーション、スケジュール調整、服薬管理、金銭管理、趣味などの日常生活動作をいう。

ADLの評価方法はいくつかあるが、自立能力と認知能力に着目して評価することは共通している。

ABW

雇用されている人が自分自身で働く時間と場所を決定する働き方。英語のActivity Based Workingの略語。

時々の仕事の内容に応じて、従業者自身がその都度、働く時間と場所を決めることになる。時間と場所を自由に選択できることから、従業者は、仕事と生活のバランスを独自に保つことができる一方、事業主は、多様な人材を確保できると考えられている。また、事業コストの削減に資するともされる。一方で、ABWが円滑に機能するためには、業務の管理や成果の確認などに関するシステムを見直す必要がある。

追いだき

追い焚き、追焚きとも。

風呂の湯の温度が時間の経過や入浴により低下したときに、温度を上げるために風呂の湯を再度加熱することを「追いだき」という。

かつては手動で追いだきを行なっていたが、近年はオートタイプのガス風呂給湯器やオートタイプの電気温水器が登場したことにより、自動的に追いだきを行なうことができるようになった。

応急借上げ住宅

災害被災者に対して、応急的に民間賃貸住宅等を借り上げて提供する住宅。応急仮設住宅の一つで、「借上型応急仮設住宅」「みなし応急仮設住宅」ともいう。

応急借上げ住宅の供給方式には、都道府県(又は市町村)によるマッチング方式と、被災者自ら物件を探し、都道府県に申請する方式(被災者自らが探す方式)とがある。

なお、応急仮設住宅の提供方法には、建設する方法と借りる方法とがあるが、提供されるまでの期間、それぞれの住宅の特徴、被災地域の実情等を踏まえて、あらかじめそれぞれの供給について計画しておく必要があるとされている。たとえば、応急借上げ住宅の供給に関して不動産業団体等とあらかじめ協定を締結しておくことによって円滑な供給を確保できる。

応急危険度判定

地震で被災した建築物について、余震等による倒壊、部材の落下などの危険度を調査し、判定・表示する制度。

応急危険度は、「危険」「要注意」「調査済」の3段階に分けて判定され、判定は、応急危険度判定士による調査の結果に基づいて、市町村が行なう。

応急危険度判定調査

地震で被災した建築物について、余震等による倒壊、部材の落下などの危険度を判定するための調査。

応急危険度判定調査を実施するのは被災市町村で、調査に当たるのは、市町村から派遣される応急危険度判定士である。調査は、原則として建物外部からの外観目視によって行い、「危険」「要注意」「調査済」の3段階で判定され、表示される。

なお、応急危険度判定調査は、罹災証明のための「住家被害認定調査」ではなく、そのための調査は別に実施される。

大壁

構造用合板などの面材で柱を覆い、柱を隠した壁のこと。

屋外広告物条例

屋外広告物法第3条から第5条までの規定にもとづいて、都道府県・指定都市・中核市・景観行政団体である市町村が定めた、屋外広告物の規制に関する条例のこと。

屋外広告物条例による規制が可能な地域は、従来は「市及び人口5千人以上の市街的町村の区域」(旧屋外広告物法第3条第1項)に限定されていたが、2004(平成16)年の法改正により、全国どこでも屋外広告物条例を設けることが可能になった(法第3条から第5条)。

屋外広告物条例による規制内容は、屋外広告物の表示・掲出の禁止(法第3条)、屋外広告物の表示・掲出に対する知事・首長の許可制(法第4条)、屋外広告物の形状・面積・色彩・意匠・掲出方法の基準(法第5条)である。また屋外広告物条例で定めるところにより、違反広告物を除却することができる(法第7条)。

屋外広告物法

屋外広告物を取り締まるため、1949(昭和24)年に制定された法律。最近、景観法の創設に伴って、屋外広告も良好な景観の形成に影響を与えるという観点により、2004(平成16)年6月に大幅改正された(改正法の施行は2004(平成16)年12月より)。

屋外広告物法では、立看板広告旗(いわゆる「のぼり」)、広告看板、広告塔などを「屋外広告物」と規定している(第2条)。

また、屋外広告物の表示・屋外広告物を掲出するための物件の設置を行なう営業のことを「屋外広告業」と呼び(第2条)、この営業を登録制としている(第9条)。

都道府県・指定都市・中核市・景観行政団体である市町村は、良好な景観または風致を維持するために必要があると認めるとき等においては、第一種低層住居専用地域第二種低層住居専用地域第一種中高層住居専用地域第二種中高層住居専用地域美観地区風致地区または伝統的建造物群保存地区景観地区などの地域において、屋外広告物の表示・掲出を、条例で禁止することができる(第3条)。

また、都道府県・指定都市・中核市・景観行政団体である市町村は、良好な景観または風致を維持するために必要があると認めるとき等においては、屋外広告物の表示・掲出を条例で知事・首長の許可制とすることができる(第4条)。さらに、屋外広告物の基準を条例で定めることができる(第5条)。

このような屋外広告物条例に違反した屋外広告物については、知事・首長は、相当の期限を定めて、除却を命令することができる(第7条)。
ただし、立看板・のぼり等については、簡易除却制度が設けられており、知事・首長が通知・公告なしに立看板・のぼり等を即時撤去することができる。

屋外電源

家屋の外側に設置する電気供給設備。たとえば、外壁等に設けた電源コンセントがこれに当たる。

家屋の外で電気を使う場合には、屋内の電源から電気コードを引くこともできるが、屋外電源を設置すればより簡便に電力を供給できる。

屋上防水工事

建物屋上の雨漏りを防ぐ工事をいう。

屋上防水の方法には、大きく、
)防水塗料を塗る方法(塗膜防水):ウレタン防水、FRP(ガラス繊維強化プラスチック)防水
)防水シートを貼る方法(シート防水):ゴムシート防水、塩化ビニールシート防水
)アスファルトを含んだ不燃布等を重ねあわせて接着する方法(アスファルト防水)

がある。防水方法は、屋根の形状や施工条件に応じて選択する。

屋上緑化

樹木・植物などを建造物の屋上に設置し、緑化すること。

近年ではヒートアイランド現象を緩和するために屋上緑化が非常に有効であることが認識されるようになってきた。

このため国では、2001(平成13)年8月より「都市緑地法」を改正・施行し、「緑化施設整備計画認定制度」を創設している。
この制度は、一定の要件を満たす樹木・植物などを屋上等に設置する場合には、固定資産税を軽減するというものである。

また東京都では、2001(平成13)年4月より東京都自然保護条例を改正・施行し、1,000平方メートル以上の敷地面積の民有地において、建築物等を新築・増築する者に対して、地上部の空地部分の20%と屋上の利用可能部分の20%を緑化することを義務化している。

奥行

建物や宅地の前面道路に接する境界から、その反対側の境界までの距離。これに対して、前面道路に接している距離を「間口」と呼び、この両者によって建物や宅地の形状や大きさをおおまかに示すことがある。

押入れ

部屋の一部分をふすま、または戸で仕切った空間で、寝具、衣服等の生活用品を収納する場所。英語の「closet(クローゼット)」も同じ意味で使われる。

汚染井戸周辺地区調査

地下水の汚染が明らかとなった場合に、その汚染範囲を確認するとともに汚染原因の究明に資するために実施する調査。土壌汚染が判明した場合にも、必要に応じて実施される。水質汚濁防止法の規定に基づく地下水モニタリング調査の一つである

汚染物質の種類、帯水層の構造、地下水流向・流速等を勘案して、汚染範囲全体が含まれるように複数地点を設定して実施される。この場合、利水影響が大きい井戸を優先して選定し、また飲用井戸は必ず調査することとされている。

汚染井戸周辺地区調査によって把握された汚染地域については、「継続監視調査」の対象に移行し、特定地点について年1回以上汚染状態を調査することとなる。また、継続監視調査を数年間実施したあと、再び汚染井戸周辺地区調査を実施して、汚染範囲の確認などを行なうこととされている。

汚染除去等計画

土壌汚染対策法に基づき要措置区域(土壌汚染の摂取経路があり健康被害が生じる恐れがあるため汚染の除去等の措置が必要な区域)に指定された土地所有者等が作成する汚染除去等のための計画。都道府県知事の指示によって作成し提出する。

汚染除去等計画に記載するのは、講じようとする汚染の除去等の措置(技術的基準に適合する措置に限る)、措置の着手予定時期および完了予定時期等である。

提出した汚染除去等計画が技術的基準に適合していないときには、都道府県知事は、提出があった日から起算して30日以内に変更を命じることができる。また、土地所有者等は提出した汚染除去等計画に従って措置を実施しなければならない。

汚染土地の指定

土壌の汚染状態が基準に適合していない土地として指定すること。土壌汚染対策法に基づく措置で、土壌汚染状況調査の結果によって都道府県知事が指定する。指定は公示され、台帳に記載して公衆の閲覧に供される。

指定される汚染土地には、次の二つの種類がある。

(1)要措置区域
土壌汚染の摂取経路があり健康被害が生じる恐れがあるため、汚染の除去等の措置が必要な区域。この区域に指定されると、健康被害を防止するために必要な措置を講じなければならない。また、土地の形質変更は原則禁止される。

(2)形質変更時要届出区域
土壌汚染の摂取経路がなく、健康被害が生じる恐れがないため、汚染の除去等の措置が不要な区域(摂取経路の遮断が行なわれた区域を含む)。この区域では、土地の形質変更時に都道府県知事に計画の届け出が必要である。

汚染土地の指定台帳

汚染土地として指定された区域の所在地、土壌汚染の状況等を記載した台帳。土壌汚染対策法に基づき、都道府県知事が調製する。 

汚染土地として指定される区域は、汚染の除去等の措置が必要な「要措置区域」と、汚染の除去等の措置が不要な「形質変更時要届出区域」との二つの種類に分かれているが、指定台帳は、この区域の種類ごとに別々に調製される。

台帳に記載される主な事項は、次のとおりである。
1. 指定された年月日
2. 区域の所在地
3. 区域の概況
4. 区域内の土壌の汚染状態(基準に適合していない特定有害物質の種類等)
5. 土壌汚染状況調査の実施方法、実施した指定調査機関等
6. 要措置区域における地下水汚染の有無
7. 形質変更時要届出区域における汚染の除去等の措置
8. 自然由来特例区域、埋立地特例区域、埋立地管理区域、臨海部特例区域にあってはその旨
9. 関係図面

また、汚染土地の指定が解除された場合には、指定台帳からその記載を削除し、「解除台帳」に記載して措置内容及び解除された旨を記録することとされている。

汚染土地の土地の形質変更

形質変更時要届出区域(土壌の汚染状態が基準に適合していない土地であって、健康被害が生じる恐れがないため汚染の除去等の措置が不要な区域)に指定された土地について、宅地造成等の土地の形質を変更する行為を行なうこと。この行為を行なおうとするときには、行為に着手する日の14日前までに都道府県知事に届け出なければならない。この場合、その行為によって土壌汚染を拡散させる恐れがある場合には、都道府県知事はその工事の計画を変更することを命令することができる

また、要措置区域(土壌汚染の除去等の措置が必要な区域)に指定された土地については、実施措置が実施され要措置区域の区域指定が解除されない限りは、原則として土地の形質の変更を行なってはならないとされている。

汚染土壌の掘削による土壌汚染の除去

汚染土壌について、地下水汚染を経由した健康被害の恐れがある場合、または土壌の直接摂取による健康被害の恐れがある場合における土壌汚染の除去等の措置の一つ。
汚染土壌を掘削し、その場所に掘削した汚染土壌以外の汚染されていない土壌を埋め戻す。また、掘削した汚染土壌から特定有害物質を除去した土壌を埋め戻してもよい(環境省の「土壌汚染対策法ガイドライン」を参考とした)。

オットマン

足を載せるためのクッションが付いた台。英語のottoman。「フットスツール(footstool)」ともいう。

オットマンは、もともとはオスマン帝国で使われていたクッション張りの背の低い長椅子をさしていたが、それがイギリスで小型化して、現在のようなクッション付き足載せ台となった。オットマンという名称はその名残である。

乙区

登記記録において、不動産所有権以外の権利に関する事項を記載した部分のこと。

この乙区に記載される登記には「抵当権設定登記」「地役権設定登記」「賃借権設定登記」などがある。

おとり広告

実際には取引できない物件の広告のことで、客寄せのためにする。
架空の物件、売却済みの物件、売主に取引の意思がない物件などの広告はすべてこれに当たる。そのような広告を出すことは宅地建物取引業法に違反し、また、不動産公正取引協議会不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)で禁止されている。気を付けて☺

踊り場

階段の途中に設けられた踏面の広い段のこと。階段を昇降するときの危険防止と小休止のために設ける。また、階段の方向を変えるときにも付ける。

幅と奥行き、段の高さの最大・最小寸法については、建築基準法で決められている。

オフバランス

資産をバランスシート(貸借対照表)から切り離すこと。「オフ・バランスシート」の略語。資産保有に伴うリスクや負債の軽減、キャッシュフローの獲得などの効果がある一方、資産利用コストの増大、キャピタルゲイン獲得機会の喪失などを伴う。

オフバランスは、資産の保有と利用とを分離する財務手法のひとつである。その例としては、不動産の証券化によって自社ビルを流動化すること、リースバック手法によって事業設備を流動化することなどがある。

オプション

選択の自由があること。英語のoption。一般に、標準的な装備に追加する付属品やサービスをいうことが多い。

また、金融においては、目的物を一定の期期間後に一定の価格で取引する権利をさす用語として使われている。

オポチュニティファンド

私募ファンド(任意の契約によって投資家から集められた資金を運用者が運用し、その成果を出資額に応じて投資家に還元する仕組み。元本保証はなく、リスクもリターンも投資家に帰属する)の一つで、高い運用実績を売り物にするものをいう。

投資対象を限定せず、運用者に自由な裁量権を与えてリターンを高めることに特徴があるが、一般に投資対象が限定的なファンドよりもリスクが大きい。不動産を投資対象とすることが多く、アメリカで普及した。

親子ドア

広いドアと狭いドアの二面で構成されている両開きのドア。通常は狭いドア(子ドア)を閉めたまま広いドア(親ドア)のみを使って出入りし、必要に応じて子ドアも開放して広い間口とすることができる。

なお、かたちは親子ドアに似ているが、子ドアを開かないように固定したドアを「片袖」という。

オリジネーター

不動産の証券化において、証券化の対象となる不動産、不動産信託受益権、不動産担保債権などを証券の発行に当たるSPC等に譲渡する者。原資産保有者、資産譲渡人ともいわれる。

証券化をスタートさせる役割を担うが、資産を譲渡したオリジネーターは資金を調達できるのである。また、オリジネーターは、証券化を推進する者と同一の場合もあるし、いったん不動産を譲渡したうえで、改めて同じ不動産を賃借することもある。

オルタナティブ投資

伝統的な資産以外に対する投資

伝統的な資産とされるのは上場株式や債券であるが、オルタナティブ投資は、
これら伝統的な資産と価格動向等が連動しない資産に対する投資であり、リスクの分散、収益パターンの多様化、ハイリスク・ハイリターンなどのニーズに応えるべく発達してきた。

オルタナティブ投資のかたちは多様で、農産物、鉱産物などの現物・先物取引、不動産投資、ファンドへの投資、金融派生商品(先物、オプション、スワップなど、デリバティブといわれる)の取引などがある。

温室効果ガス

人為的に排出され、地球温暖化の原因となると考えられている化学物質をいう。

京都議定書で排出量の削減対象として指定されているのは、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、亜酸化窒素(N2O)、ハイドロフルオロカーボン類(HFCS)、パーフルオロカーボン類(PFCS)、六フッ化硫黄(SF6)の6種類である(HFCS、PFCS、SF6を合わせてフッ素ガス類という)。

温室効果ガス排出の削減に当たって削減量を評価するときには、これら6種類のガスを、100年間にわたる温室効果の強さに応じて二酸化炭素に換算する。
その換算値(地球温暖化係数)は、二酸化炭素=1、メタン=25、亜酸化窒素=298、ハイドロフルオロカーボン類=124~1万4,800、パーフルオロカーボン類=7,390~1万2,200、六フッ化硫黄=2万2,800である。

換算評価すると、6種類の温室効果ガスの中で地球温暖化に対する寄与が最も大きいのは二酸化炭素である。
排出量のシェアは、二酸化炭素76.7%(うち56.6%分は化石燃料からの排出)、メタン14.3%、亜酸化窒素7.9%、フッ素ガス類1.1%である(2004年、IPCCによる)。

なお、気候に対する人為的な影響は、温室効果ガスの排出だけでなく、エアロゾル(粉じん)の排出や森林伐採などによっても生じる。

温水洗浄便座

温水を噴出して肛門等を洗浄する機能のある便座。洗浄強度の調整のほか、乾燥や脱臭などの機能が付加されている場合もある。

「ウォシュレット」「シャワートイレ」などの商標があり、これらの商標で呼ばれることも多い。

温水ルームヒーター

温水の熱を利用した暖房器具のひとつで、屋外のガスボイラー(ガス給湯器)で温水をつくり、それをコンセント接続によって室内の器具に導いて空気を暖める器具をいう。

温水を利用した暖房方式には床暖房や温水パネルヒーターがあるが、それらは設備が固定され部屋全体を暖めるのに対して、温水ルームヒーターは器具を移動できる一方、暖房範囲は局所的である。

オンライン申請

不動産登記を、インターネットを利用したオンラインで申請することをいう。

法律上の名称は「電子申請」。不動産登記法の改正(2005年3月施行)によって創設された申請方法である。

従来、不動産登記は、書面(または携帯型のディスク等)でのみ申請できること(書面主義)、権利の登記の申請は当事者または代理人(司法書士)が直接登記所に出頭すること(出頭主義)とされていたが、登記申請者の負担軽減等のためオンラインによる申請が新設されたのである。

オンライン申請では、法務省オンライン申請システムにユーザー登録をしている者(通常は司法書士)が、インターネットで法務省オンライン申請システムへ接続し、申請情報を送信する。この際セキュリティを確保するために、電子署名・電子認証の仕組みを利用し、なりすましやデータ改ざんを防止するようになっている。


※法務省オンライン申請システムの公式ガイド http://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/

オンライン庁

不動産登記をオンライン申請できる登記所をいう。

2008年7月14日をもって、すべての法務局(本局・支局・出張所)がオンライン庁となった。

なお、よく似た言葉としてコンピュータ庁がある。コンピュータ庁とは、登記事務をコンピュータで処理する登記所のことである。コンピュータ庁では、従来の紙の登記簿に代わって、磁気ディスクによる登記記録が原則とされる。そんなものあるんですね。

OL

リビングと連続していて一体的に使うことのできるバルコニー。Open air Livingの略語だが和製英語である。

オープンエアリビングとリビングとのあいだは、一般に、折り戸式全開口サッシによって仕切られていて、サッシを開けば両方の空間が一体化する。オフィスレディとはまた違う。

オーク

ブナ科コナラ属の落葉広葉樹の総称で、建築材、家具材、船材、樽材などとして古くから使われている。英語のoakで、和名はナラ(楢)である。

オーク材は、硬さと耐朽性を備え、木目や色に天然木の美しさがあることから、建材においては無垢材として使われる場合が多い。

なお、オークは落葉樹であって、コナラ属の常緑樹であるカシ(樫)とは区別される。

オートバス

自動的に給湯する機能を備えた浴槽。和製英語である。

湯量、湯温などを設定しておけば、給湯の開始をボタンなどで指示するだけで設定どおりに給湯される。この場合、自動的に追い焚きする機能を備えたものを「フルオートバス」、追い焚きのためには別途の指示が必要なものを「セミオートバス」という。

なお、オートバスであっても浴槽の栓は自動的に開閉しない。

オートライト

自動的に点灯・消灯する照明装置。玄関灯、廊下灯、庭園灯などに使われている。automaticとlightを組み合わせた和製英語である。

オートライトの点灯・消灯は、センサーによって制御する。センサーは目的に応じて選択することになるが、その方式には、人が発する赤外線を感知するもの(人感センサー、人が近づくと点灯する)、明るさを感知するもの(光センサー、暗くなると点灯する)などがある。

なお、オートライトには自動車や自転車の前照灯の意味もあるが、これはautomobile lightの略語であって、住宅等に使われるオートライトとは異なる用語である。

オートロック

ドアを閉じると自動的に施錠するしくみ。和製英語で、英語ではautomatic door lock(オートマチック ドア ロック)が一般的。

マンションの出入口、ホテルの部屋などで使われている。

オーナーチェンジ

賃貸住宅の所有者が、賃借人が入居したままその建物を売却することをいう。

購入者は新たに賃借人を見つける必要がなく、投資用のワンルームマンションでよく使われる方法である。その際に、賃借人から預かっている敷金の引渡しや建物の管理ルールの引継ぎなどに注意が必要である。リスク高め

オーニング

英語でawning、窓やポーチに張り出して設置する可動式の「日よけ」をいう。

一般に、テント生地でできている。オーニングによって、窓辺などの陽射しを調節したり、ポーチなどを雨から保護することができる。

オーバーハング

もともとは登山用語で、岸壁の上部に突き出た岩、張り出した岩のことをいうが、建物の場合は、外壁よりキャンティレバーで支えられた跳ね出した床、バルコニーのことをいう。

オーブンレンジ

電子レンジとオーブンの機能を兼ね備えた調理機器。和製英語である。

電子レンジは食品の含有水分を熱して中から温める調理方法であり、オーブンは高温の空気や赤外線で外から素材を加熱し焼く調理方法であるが、オーブンレンジは、この両方を一つの機器で使い分けることができる。

オープンエンド

投資信託のうち、受益権の買い戻し義務があるもの。

信託による投資は、投資者が金銭を受託者に提供し、受託者がその資金を運用し(運用先が不動産経営である場合がREIT)、投資者は運用益を受け取る権利(受益権)を保有するしくみである。この場合、オープンエンドにおいては、投資者は、いつでも受託者に対して受益権の買い戻しを求めることができる。このときの買い戻し価格は、純資産価額に基づいて算出される基準価額である。

金融商品として売り出されている契約型の投資信託のほとんどすべては、オープンエンドである。また、私募REITの大部分もオープンエンドである。

なお、受益権の買い戻し義務のない投資信託は「クローズドエンド」といわれ、会社型の投資信託に多い。上場されているREITもクローズドエンドである。

オープン外構

敷地の周囲を遮蔽しない外構。樹木や草花を植栽するなどによって、開放性のある敷地境界をかたちづくる。

オープン外構は、開放性がある一方、プライバシー確保や防犯のための工夫が必要である。

オープンキッチン

居室・食事室と一体となっていて、部屋と仕切りがない調理スペースをいう。

間取りを広くとることができ、調理中にも居室とコミュニケーションを保つことができる一方、調理に伴う臭いなどが居室・食事室に波及することへの対応や、収納スペースの適切な確保が必要となる。

オープンシェルフ

背面や側面に板がない棚。収納したものが空間に開放されているような状態となる。オープンシェルフと収納物とが一体となって、インテリア(室内装飾)として機能する場合もある。

オープンスペース

大規模なビルやマンションに設けられる空地(くうち:敷地のうち建築物が建てられていない部分)であって、歩行者用通路や植栽などを整備した空間をオープンスペースという。また広い意味では、都市における公園・緑地・街路・河川敷・民有地の空地部分などの建築物に覆われていない空間を総称して「オープンスペース」と呼ぶ場合がある。

高層建築物による景観や生活環境の悪化に対する制度として、国では1961(昭和36)年に特定街区制度、1971(昭和46)年に総合設計制度を創設した。
これらの制度は、大規模なビルやマンションを建設する際に広い空地を確保し、その空地を一般の歩行者が自由に通行できる空間として利用することを推奨するものである。
特に後者の総合設計制度は、現在も広く活用されており、この制度によって設けられた一般公衆が自由に出入りできる空地は「公開空地」と呼ばれている。

近年では、大規模なビルやマンションにおいて、ヒートアイランド現象を緩和するために地上の空地部分の緑化が推進されており、また地方自治体の条例により良好なまち並みの形成が推進されている。

さらにビルやマンションの市場価値自体を高めるという目的のために、開発者が空地に歩行用通路・樹木・植栽・庭園・水路などを整備することが盛んになっている。
このようなさまざまな理由にもとづいて、大規模なビルやマンションの空地において、通路・植栽等を整備することが近年盛んになっている。こうした空地のことを一般に「オープンスペース」と呼んでいる。

オープンハウス

本来は、企業のオフィスや生産施設を、顧客・取引先・投資家に見学させて、企業に対する理解度を高めるという企業広報活動のこと。

不動産業界では、販売しようとする物件の内部を一定の期間、担当営業員が常駐して、買い希望客に公開するという販売促進活動を指す。本当に売れるのかいつも疑問

オール電化システム

住宅内の熱源、例えば冷暖房、給湯、調理などに必要な熱をすべて電気で賄うシステムをいう。

燃料の燃焼による有害物質や水蒸気が発生しないこと、火事の恐れが比較的小さいことなどが特徴とされる。